2012年4月9日月曜日
17歳女性騎手デビュー 佐賀競馬
今春、地方競馬の騎手養成所を卒業した小山紗知伽(さちか)騎手(17)(熊本市出身)が7日、佐賀県鳥栖市の佐賀競馬でデビューを果たした。
夢の舞台だった地元の荒尾競馬(熊本県荒尾市)が昨年廃止になるというアクシデントを乗り越えて迎えた初戦だった。地方競馬で7人いる女性騎手の最年少でもある小山騎手は「精いっぱい地方競馬を盛り上げていきたい」と笑顔を見せた。
デビュー戦では2回騎乗。最初のレースは最後尾からの追い上げで8頭中4着、2レース目は最後の直線で粘り3着に入った。「最初は緊張して余裕がなかった。でも『紗知伽がんばれ』と声援が聞こえ、本当にうれしかった」と目を細めた。
子どもの頃から動物と触れ合うのが好きで、熊本市の京陵中に通っていた頃、「馬に乗って自由に走ってみたい」と思ったのが騎手を目指すきっかけだった。母親の美樹さん(43)と2人で荒尾競馬に行ってレースを見学し、騎手の憧れが一層強まった。
中学を卒業した2010年春、地方競馬教養センター(栃木県那須塩原市)に騎手候補生として入所。同期の候補生13人のうち女性は1人。周囲が上達していく中、なかなか馬に慣れず、落馬して左手を骨折するなど伸び悩んだ。悔し泣きが続き、騎手をあきらめかけたこともあったが、「ここでやめたら何も残らない」と思い直したという。
ようやく基礎訓練を終えた昨年8月から、荒尾競馬での実習が始まった。だが、13億円の累積赤字を抱え、経営難に陥っていた同競馬は同年12月廃止に。つかめるところにあった夢が突然奪われ、落ち込んだ。
しかし、所属する厩舎(きゅうしゃ)が佐賀競馬に移籍することになり、念願のデビュー戦を迎えることができた。
初日の獲得賞金は計1万4000円だが、厩務(きゅうむ)員や調教師などの取り分を引かれ、手取りは700円だった。騎手としての第一歩を踏み出した小山騎手は「今まで支えてくれた人に感謝しながら、地方競馬のファンが増えるように頑張りたい」と力強く語った。(読売新聞)