2013年5月14日火曜日

廃止福山競馬の騎手と調教師 佐賀競馬で再起

「佐賀で頑張りたい」と意気込む柳井さん(左)と渡辺さん

 3月末で廃止された福山競馬(広島県福山市)に所属していた騎手の渡辺博文さん(46)と調教師の柳井宏之さん(38)が、今年度から九州唯一の地方競馬の佐賀競馬(鳥栖市)に移籍した。
 2人は、「いいレースで盛り上げたい」と意気込んでいる。
 大阪府岸和田市出身の渡辺さんは、兄が福山競馬で騎手をしていたため、自分も志し、1986年に19歳でデビュー。その後、同競馬に在籍中、通算で2241勝を記録した。
 一方、福山市出身の柳井さんも、父が競馬好きだったことなどから、17歳で騎手となった。2007年に騎手を引退し、調教師に転向。騎手時代に先輩後輩として仲が良かったため、渡辺さんは、同年から柳井さん厩舎に所属した。柳井さんは、調教師として111勝を挙げた。
 しかし、福山競馬の経営状況は次第に悪化し、昨年度限りで廃止され、中国地方から地方競馬の灯は消えた。渡辺さんは、「経営が悪いのは知っていたが、ショックだった」と振り返る。
 3月24日に行われた同競馬の最終レース後のセレモニーには、たくさんの観客が詰めかけたという。その光景を見た柳井さんは、「もっとファンサービスに力を入れていれば、存続できたかもしれない」と感じた。同競馬に所属していた騎手の3分の1ほどは、廃止を機に廃業したという。
 そうした中で、2人は佐賀競馬へ移籍する道を選んだ。渡辺さんは4月13日に同競馬でデビュー。柳井さんが調教を担当した馬も、同29日に初めてレースを走った。
 新しい馬場は福山に比べて広く、まだ十分に慣れてはいないが、競馬にかける熱意は以前と同じだ。渡辺さんは、「とにかくレースに勝つことにこだわり、現役であり続けたい」と言い切る。柳井さんも、「調教師として5年が過ぎ、ようやく面白さが分かってきた。勝てる馬をどんどん育てたい」と語り、新天地での活躍を期している。(読売新聞)