2013年4月16日火曜日

JRA外国人騎手 誕生


 現在は短期免許や指定競走の限定免許で騎乗している外国人騎手に、通年で日本で騎乗できる道が整備される。JRAが、今年8月上旬に公示する騎手免許の試験要領に「外国人騎手が試験を受ける場合」の規定の明文化を検討していることが分かった。
 外国人騎手がJRAで騎乗する際に取得している短期免許はいわば仮免のようなもの。年間に最大で3カ月間の騎乗に限られ、また、同時期に5人までの人数制限もある。だが、本免許取得となれば日本人騎手と同じ扱いになる。
 詳細はこれから詰めることになるが、日本の競馬関係の法規を理解していることはもちろん、日本に本拠地を置くこと、通訳を介さず日本語で最低限の意思疎通が図れることなどが条件になるとみられる。英語による受験も可能になる方向。また、地方競馬騎手の受験時と同様、それまでの実績によって騎乗技術試験は免除される見込みだ。
 母国イタリアの競馬が深刻な財政難に悩まされているミルコ・デムーロ騎手は、実際に受験するかについては明言していないが「日本で年間通して乗れればうれしい。英語で受験できればいいんだけど」と、日本を本拠地としたい考えもある。イタリアでは長年のずさんな経営が響き、12年からは全レースの賞金が40%削減され、今年も開催自体が危ぶまれている状況だ。現在はフランスに拠点を移しているが、短期免許で日本に来ている時ほど有力馬が集まらないのも事実。賞金額が圧倒的に高く、有力馬主からの信頼も得ている日本での通年騎乗を望むのは自然といえる。
 もともと、現行のルールでも外国人によるJRAの本免許受験は可能だった。ただ、これまでは外国人騎手が日本を本拠地として本免許取得を希望することはほぼ想定外であり、免許取得の基準については、免許試験委員会内の合意事項にとどめていた。今年、あらためて試験要領に外国人騎手の受験規定が明文化されることになれば、日本の競馬に魅力を感じている外国人騎手の注目度が高まるのは間違いない。
 騎手免許 国内ではJRAとNARがそれぞれ試験を実施して、合格者に免許を交付している(1年ごとに更新が必要)。中央では競馬学校騎手課程卒業予定者と地方騎手の受験がほとんど。外国人騎手は本国のオフシーズンの来日が多く、短期免許(1カ月単位で3カ月間、調教師と馬主の引受人が必要)で騎乗している。短期免許制度は94年から始まり、00年以降に欧州トップクラスの来日が増えた。いわば出稼ぎの意味合いが強かったが、最近はイタリア競馬の財政難などで、日本を本拠に希望するケースが出てきた。(日刊スポーツ)