2013年4月20日土曜日

TPPで「競馬」が激変!“1頭340万円”関税撤廃の光と影


 TPPで競馬が変わる-。日本のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加が19日、TPP閣僚会議で11の交渉参加国から承認を得た。日本は7月に予定される交渉会合から合流する。一部の例外を除き、関税の完全撤廃を目指すTPPに参加すれば、さまざまな影響が予想されるが、競走馬の世界まで激変しそうだという。
 閣僚会合は20、21日に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合にあわせてインドネシアのスラバヤで開かれた。甘利明TPP担当相が現地入りし、関係閣僚らと直談判して最終決断を促した。
 注目される競走馬への影響だが、輸入時にかかる「1頭あたり340万円」の関税が撤廃されたらどうなるのか。
 馬主としても有名な民主党の小川敏夫元法相は「安くて、そこそこ強そうな外国産馬を買って、『大きなレースは勝てなくても(賞金)1000万下クラスまで走れば元が取れる』と考える馬主も出てくるだろう」と分析した。
 TPP交渉参加国では、米国のほかカナダ、オーストラリア、ニュージーランドで競馬が盛ん。特に、オーストラリアやニュージーランドは、日本に比べて馬の価格が安いため、主な調達先になりそうだ。
 現行制度では、競走馬や妊娠している繁殖牝馬の輸入には高い関税がかかる。TPP参加で関税が撤廃されれば、外国産馬が安く購入できる。自ら海外のセリに出かける資金力のある大手馬主だけでなく、1頭の競走馬を数十~百人で共有する「クラブ馬主」も安価で1口が持て、プラスとなりそうだ。
 優秀な血統が多く入ってくる可能性もある。
 馬産地に詳しい競馬ジャーナリストは、「現在の日本競馬の血統の基礎となっているサンデーサイレンスは米国産、ノーザンテーストはカナダ産と、海外の血です。ただ、現競走馬の多くは祖父としてサンデーサイレンスの血が入っていて、飽和状態ともいえます。そこへまったく違う血統の競走馬や繁殖牝馬を多く取り入れることができれば、日本の競馬はさらに発展します」と語る。
 競馬ファンにとっては、血統研究の楽しみが増えそうだ。
 また海外における、日本馬の注目度が高まる。(ZAKZAK)