2013年12月9日月曜日

ばんえい競馬、公金再投入なら存廃問題も

 北海道帯広市が、ばんえい競馬運営方法の見直しに入った。
 業務委託先から赤字分を穴埋めする仕組みを変更してほしいと要請を受けたためだ。過去に多額の市税で赤字を賄った経緯があり、再び公金を投入する事態に陥れば存廃問題に発展しかねず、市議会からは見直しを不安視する声も出ている。
 帯広競馬場で7日、レースが行われ、馬が引っ張る鉄そりの上に騎手が乗り、速さを競った。「ほれ、行け」。屋外客席でファンが声援を送る。
 ばんえい競馬を巡り、帯広市が民間企業に運営を委託するようになったのは、複数の自治体による組合運営が廃止され、市の単独開催が始まった2007年度から。12年度から別の会社である北海道旭川市のソフトウエア会社「コンピューター・ビジネス」(CB)に一部の業務を委託している。
 帯広市によると、現行の契約は、経営の収支が悪化した場合、CBが赤字額をすべて負担する。黒字決算でCBが利益として受け取れるのは業務委託金約5億円の100分の1が上限だ。CB側は「リスクが大きすぎる」(村山篤史社長)として今年9月、市に契約内容の変更を依頼した。
 市幹部も「変更の必要性を感じていた」とし、14年度から新しい契約内容で運営する方針だ。加えて、消費増税を見据え、コスト削減策を検討している。CBが別業者に再委託する清掃や走路整備などの業務を、市が直接、業者に委託することや、委託業務の一部を市の直営とする案が浮上している。14年1月の市議会産業経済委員会で、全体像を示す方針でいる。

 ただ、市の赤字穴埋めには、市議会から慎重な意見もある。かつて、ばんえい競馬の経営不振で巨額の赤字を市税で穴埋めした反省から、市が単独開催を決めた際、市は存続の条件として「市税を投入しない」と市議会に説明した経緯があるからだ。赤字を前提にした見直しではないものの、ある市議は「再出発時の市民との約束は破れない。収支不足に陥った場合は存廃の議論が浮上する」と懸念を示した。(読売新聞)
【写真】ゴールを目指すばん馬。障害を乗り越えられるか(7日、北海道帯広市で)