金沢競馬の存廃を協議する「金沢競馬経営評価委員会」(委員長=丸山利輔・県立大参与)が15日、県庁で開かれ、2013年度の経営存続を決めた。存廃の一つの目安だった12年度の収支均衡は未達成の公算が大きいが、13年度収支で黒字予測が示されたことなどもあり、同委は「(今後、廃止時の経費も含め)新たな税金投入には陥らない」と判断した。
赤字経営が続く金沢競馬を巡っては、10年12月の同委で、「12年度までに収支改善を目指し、達成できない場合は廃止せざるをえない」との意見が出されていた。
県競馬事業局のまとめによると、売り上げにあたる「売得額」は今年度、昨年末時点で約86億422万円(前年同期比4・2%減)で、最終的に約900万円の赤字になる見通し。当初予測の約600万円の黒字化は厳しい情勢となっている。
一方で、県は新年度の収支予測を、約5600万円の黒字に転換すると試算。賞金総額が地方競馬最大規模で、中央競馬(JRA)の一流騎手も参戦する「ジャパンブリーディングファームズカップ(JBC)」開催による増収見込み(約5000万円)が大きな要因で、今春から開始されるJRAの場外馬券販売なども収入を押し上げ、08年度以来の黒字化を期待する。
ただ、今後も厳しい見通しが続くのは変わらない。県の予測では、現状のままいくと、14年度には再び約3800万円の赤字に転落、15年度は更に膨らみ約1億2300万円の赤字となる見通しだ。
赤字補填(ほてん)に充てる積立基金は今年度末時点で残り約24億円。10年に同委が決めた方針では、今後の存廃の判断基準について、「(新たな)税金を投入しないこと」としている。事業廃止に必要な経費は現在、約6~13億円と見積もられ、競馬場を解体する場合は更に費用が必要だ。
丸山委員長は、読売新聞の取材に対し、「収支均衡も大事だが、最終的には、新たな税金の投入になる事態は避けるという観点で考えるべきだ」と述べ、基金で廃止費用を賄える状態では、継続が望ましいとの見解を示した。(読売新聞)