2010年5月31日月曜日

障害者乗馬で生きる力を 元調教助手、支援団体設立


 身体的障害を和らげたり、リラックス効果があるという障害者乗馬やホースセラピーの普及を支援する団体「Reins(レインズ)」(事務局・栗東市川辺)がこのほど、栗東市のJRA(日本中央競馬会)栗東トレーニングセンターの元調教助手によって設立された。全国的にも珍しい試みで、調教師ら約10人が協力。「乗馬を通じて障害者を元気にしたい」と活動の広がりに期待している。

 元調教助手の福留健一さん(40)=同市川辺。2008年9月、調教中に落馬して、下半身不随になった。その後、障害者乗馬大会などを見て、障害者乗馬の存在を知った。自分も経験して、「二度とできないと思っていた乗馬で、生きる力をもらった。より多くの人に伝えたい」と、普及を支援する団体を4月に立ち上げた。

 障害者乗馬では、年齢を重ねたおとなしい馬に障害者が自分に合ったくらなどの馬具を使って乗る。ホースセラピーでは世話などを通して触れ合うことが中心になる。

 競走馬は現役を引退して大学や乗馬クラブへ渡り、さらに年を取ったものが障害者乗馬に使われる場合が多い。馬が流通する経路は確立されておらず、行方知れずとなる場合もあり、障害者用の馬は十分に行き渡っていないという。

 「Reins」では、馬の流通を把握し、障害者用の馬を必要とするクラブへ運び、インターネットなどで障害者乗馬ができるクラブを紹介することを目指す。福留さんは「将来的には障害者乗馬の魅力を伝えるイベントも企画したい」と活動に熱を込める。(京都新聞)
【写真】障害者が乗馬に親しめるような環境づくりを目指す福留さん(左)=栗東市・JRA栗東トレーニングセンター