2012年8月31日金曜日

荒尾競馬、市が赤字13億6000万円負担


 荒尾市は、3月末で解散した荒尾競馬事業組合の2011年度決算案を公表した。市は約13億3600万円の第3セクター等改革推進債(3セク債)を発行するなどして組合の累積赤字約13億6000万円を解消した。しかし、3セク債の借金はまるまる市の負担となり、市民の税金が今後10年間の返済に充てられることになる。
 決算案によると、11年度は荒尾競馬の廃止に伴って12月でレースを終了しており、開催日数は前年度より21日少ない50日だった。
 収入は約61億7400万円で、内訳は馬券売り上げ36億6300万円、3セク債を含む市の補助金14億6600万円など。支出は約48億3800万円で、内訳は馬券購入者払戻金27億2200万円、運営委託料約5億6800万円、競馬廃止に伴う関係者への協力見舞金約4億2300万円などだった。
 収支は約13億3600万円の純利益となり、すべてを累積赤字の返済にあてた。市は、決算案を9月3日開会の市議会に提案する。
 荒尾競馬場の跡地活用については学識経験者らによる検討委員会で協議しており、12月末までに方向性をまとめ前畑淳治市長に提言する。(読売新聞)

2012年8月28日火曜日

佐賀競馬、経営改善へムチ 鳥栖移転から40年

 佐賀競馬が佐賀市から鳥栖市に移転して今年で40周年を迎えた。荒尾競馬(熊本県荒尾市)が昨年12月に廃止され、現在では九州唯一の地方競馬不況やレジャーの多様化などで苦戦を強いられ、累積赤字は2億円を超える。昨年度は経費削減策が奏功、3年ぶりに黒字となった。中央競馬会(JRA)と連携を強化し、荒尾のレースを引き継ぎながら経営立て直しに向けて増収策を模索している。
 「うまくいけば一気に収支が改善する」。県競馬組合が大きな期待を寄せるのはJRAとの連携強化による増収策。今秋からJRAのネット会員約300万人に対し、地方競馬の馬券発売が可能になる。県競馬組合は11月から参入予定で、本年度の売り上げ見込みは2億円。期待通りになれば、ほぼ累積赤字を解消できる。
 売り上げ増には「面白いレース」が欠かせない。本年度から騎手免許取得10年未満や通算300勝未満などの限定レースを新設。「本命」が強い佐賀競馬で、「読めないレース」を提供すると同時に、若手騎手の育成も狙う。
 荒尾競馬の廃止後、生産者保護の意味でも佐賀競馬の役割は大きくなった。荒尾で開催されていた九州産馬限定の「霧島賞」と「たんぽぽ賞」は生産者の強い要望もあり、今年から佐賀が引き継ぐ。
 売り上げ増と並行して支出削減にも取り組んでいる。11年度は馬主への賞金を前年度比約15%カット、出走手当も削った。11年度の収入は112億9500万円で前年度比1・2%減、支出は同3%減となり、3400万円の黒字を計上。黒字額を差し引いた累積赤字は、2億1300万円となった。
 経営難に苦しむ地方競馬には、国も支援に動き出している。今年5月、競馬主催者が払戻率を一定の範囲で設定できるようになる競馬法改正案が閣議決定された。運用は数年先だが、多くの地方競馬が払戻率を小さくして支出削減を検討するとみられる。
 自治体の貴重な収入源だった好況時から一転、不況下で公営ギャンブルに向けられる視線は厳しくなっている。売り上げは、ピーク時の3分の1程度に縮小。現時点で公金による補てんはないが、赤字が膨らみ、改善の見通しが立たなければ存廃議論に発展しかねない。
 同組合によると、佐賀競馬の関係者は約1千人で、巨大な雇用の場でもある。同組合の江崎保夫事務局長は「九州唯一の地方競馬であり、多くの人の生活がかかっている。九州競馬の灯を絶やさぬよう、さまざまな手だてを考え、実践していく」と話す。(佐賀新聞)

2012年8月25日土曜日

ナイター開催へ照明の試験点灯 園田競馬場


 尼崎市の園田競馬場で9月7日、関西初の「ナイター競馬」が始まる。存廃を取りざたされる同競馬場の約9億円かけた起死回生策だ。地元の反対で当初予定より5カ月遅れての開催となるだけに、兵庫県競馬組合は防犯カメラの設置や警備員の増強をした上、客には「住宅街を歩かず、送迎バスで帰って」と呼び掛けるなど、“環境対策”にも配慮する。
 24日夜、同競馬場で、新設した照明設備の試験点灯があった。1周1051メートルの走路を囲む高さ約15メートルの照明柱40本がともり、馬場が鮮やかに浮かび上がった。照明柱の水銀灯は全て自家発電。トイレは改修し、売店の数も増やした。
 今年のナイターは9月7日から11月9日の金曜日で、計10回を予定。最終レースを午後8時半に設定し、会社帰りのサラリーマンなどを呼び込む狙いだ。
 地方競馬全国協会(東京都)によると、中央競馬でナイターはなく、地方競馬では6番目。同協会は「ナイターは中央競馬やほかの地方競馬との競合が少なく売り上げ増が見込める」と話す。
 収支改善の切り札と期待されるナイター。しかし、昨年、説明を受けた地元からは「客が公園でたむろしたり、路上にごみを捨てたりしないか不安」と反対の声が上がった。一部が知事や市長に中止を求め、当初予定した今年4月開催が延期される事態になった。
 対応策として、組合は警備員を137人用意。午後8時ごろのメーンレース発走後、住宅街に通じる正門を閉じ、2カ所に増やした送迎バス乗り場に客を誘導する。住宅街には約80カ所に街灯を付ける。
 北園田福祉協議会の溝川芳夫会長(67)は「住民の要望を受けて配慮してもらっていると感じるが不安も根強い。ナイター開催日には住民パトロールもする予定」と話す。
 同組合の松谷全隆事務局長は「住民との話し合いは今後も続ける」とし、「新しいファンを開拓し、反転攻勢に出たい」と期待を寄せている。(神戸新聞)
【写真】ナイター開催に先立ち、新設された照明設備が試験点灯された園田競馬場=24日夜

2012年8月24日金曜日

福山競馬 4~6月赤字1085万円


福山市は23日の市議会競馬事業特別委員会で、福山競馬の2012年度第1四半期(4~6月)の収支が1085万円の赤字だったと明らかにした。売上高は前年度同期比18%減と大きく落ち込み、7月以降も赤字傾向が続くとみられる。事業存続の条件である単年度収支の黒字確保に向けて厳しさが増している。(佐藤行彦)

◇7、8月も厳しい状況
 市によると、第1四半期の売上高は17億9290万円で、前年度同期から約3億円落ち込んだ。一日あたりの売上高は7795万円で、前年度同期は9512万円だった。JR福山駅前などの場外馬券場は黒字を維持したが、競馬場内の赤字が1億円を上回った。入場者は3万5448人で、6・8%の減だった。
 第2四半期に入った7、8月は、売上高が同6・5%減と減少幅は狭まったが、猛暑が続いたため、入場者数は10%減と、さらに落ち込んでいる。
 昨年度の第1四半期は、東日本大震災で東日本の多くの競馬場が休止した影響でインターネット販売が急伸、4242万円の黒字だった。通常は第1四半期の収入はあまり伸びず、正月開催でにぎわう第4四半期で盛り返すという。
 今年は10月から日本中央競馬会(JRA)が実施しているネット会員対象の馬券販売に地方競馬が加わる予定で、市競馬事務局は、秋から冬にかけて、売り上げの回復が期待できるとする。
 しかし、福山競馬の競走馬の在籍頭数は昨年の同時期から22頭少なく302頭になり、レース編成はぎりぎりの状況。厩務(きゅうむ)員が昨年5人減るなど、各厩舎(きゅうしゃ)の負担も増え、今後も厳しいレース運営が続くという。
 委員会では、「第2四半期以降の具体的な事業の見通しは」「外部有識者を招聘(しょうへい)して改善策を検討することや、入場料を無料化してはどうか」などの質問や意見が出たが、杉原郁充・同事務局長は「意見を踏まえて引き続き最大限の努力をして単年度収支の黒字化を図る」と答弁するにとどまった。
 同競馬の調教師と騎手でつくる県調騎会の徳本慶一会長は委員会を傍聴し、「厳しい数字がでることを覚悟していた。黒字化のために、会としてやれることは何でもやりたい」と話した。読売新聞)

2012年8月23日木曜日

船橋競馬場のダートコースでマラソン大会開催へ-受付開始


 船橋競馬場(船橋市若松1)のダートコースで10月6日、マラソン大会「ダートランニングフェスタ2012」が開催される。船橋市内在住のマラソン好きの会社員・川崎拓己さん(40)がボランティア仲間らと結成した「チームふなばし88(はちはち)」が主催する。
 川崎さんは日頃からジョギングが日課で、各地のマラソン大会に出場している。各地のマラソン大会に参加するうちに、ご当地色の濃いマラソン大会が数多くあることに気が付き、「船橋ならではのマラソン大会を企画できないか」と考えるようになったという。
 そこで、普段からボランティア活動などで親しくしている牧野基明さん(40)に相談。「船橋には競馬場があり、船橋競馬場はダートコース。砂浜マラソンは聞くが、ダートコースのマラソンは珍しいのでは」と意気投合し、船橋競馬場に掛け合い「恐らく日本で初めて、最悪でも県内では初めて」と川崎 さんが豪語するダートコースでのマラソン大会が企画された。
 競技部門は、「2.5時間の耐久レース」(2.5耐)と「ダートレース体験」(1200メートル)の2部門で構成。参加料は、「2.5耐」が7~10人1チームで7人の場合は1万7,500円。 以降1人増えるごとに2,500円かかり10人まで。「1200メートル」は1人2,000円。定員は、「2.5耐」30チーム程度、「1200メートル」200人程度となっている。
 同大会は、同競馬場の一般開放イベント「ふれあい広場」や、千葉県畜産協会が主催する「千葉県畜産フェア」などと同日に開催される予定。
 参加者には記念品が贈られる。申し込み締め切りは9月10日。インターネットのみで申し込みを受け付ける。(船橋経済新聞)

2012年8月22日水曜日

船橋競馬場の猫、被写体に 厩務員の津乗さんが写真展 都内で24日まで


「馬もそのうち撮りたい」と話す津乗さん=東京都新宿区のコニカミノルタプラザ
 船橋競馬場(船橋市若松1)の猫たちを被写体にした心温まる写真展が、東京都新宿区のコニカミノルタプラザで開かれている。日頃競走馬の世話をする厩務(きゅうむ)員で写真家の津乗健太さん(40)が、厩舎地区に住み着く同居人たちを撮影した。24日まで。
 香川県出身の津乗さんは大阪市内の写真専門学校を卒業後、カメラマンになろうと上京したが、たどり着いた先は船橋競馬場。2002年から厩務員として働く傍ら、写真に取り組み始めた。
 「競馬場には動物好きが多いせいか、猫たちも安心しきっていて、ここでしか撮れない表情がある」と津乗さん。10月には船橋市民ギャラリーで、競馬場職員たちとのグループ展も予定しているという。
 津乗さんの個展は午前10時半~午後7時(最終日は午後3時まで)。入場無料。問い合わせは同プラザ、電話03(3225)5001。(ちばとぴ)

開設40周年の佐賀競馬 売上高ピーク時の3分の1、生命線はネット在宅投票/佐賀


 鳥栖市にある地方競馬場・佐賀競馬が今年、開設40周年を迎えた。地方競馬を巡る状況は厳しく、昨年12月には熊本・荒尾競馬が閉場され、九州は佐賀競馬のみとなったばかり。同競馬の昨年度の売上高もピーク時の3分の1と伸び悩む。そんな中で好調なのがインターネットによる馬券販売だ。テレビゲーム感覚で参加する若年層が多いといい、競馬場側は「若い人たちに実際に来場してもらえるようにもしたい」と鼻息が荒い。
 今月15日に開催された中央競馬と地方競馬の交流戦「サマーチャンピオン」。2月の「佐賀記念」と並ぶ看板レースだが、来場者は昨年比6%減の3400人。しかし「売り上げは逆に3%増えました」と県競馬組合の渕上忠博・管理課長は笑みを浮かべた。
 それを支えているのが在宅投票というネットでの馬券発売。参加者は、来場して生身の競走馬や騎手を見て投票するのでなく、ネット上でデータなどを参照するだけでバーチャルの世界で楽しんでいるという。02年の導入以降、毎年好調に伸びて売上高の20%を占め、昨年度も前年度比3%増で経営を下支えした。(毎日新聞)

戦後支えたアラブ馬残り4頭


 戦後の地方競馬を支えたアラブ馬の競走馬が激減し、現役は福山競馬(福山市)の3頭と、ホッカイドウ競馬(北海道)の1頭になった。ピーク時は1万頭を超えたが、スピードで勝るサラブレッド馬の台頭で既に生産は中止。人間なら約50歳に当たる「中年の星」として人気だった福山競馬のモナクカバキチ(牡、13歳)も今月引退し、姿を消す日は避けられそうにない。
 日本競馬のアラブ馬はアラビア半島原産の乗用馬とサラブレッド馬の交配種のアングロ・アラブ。サラブレッド馬に比べ一般的に穏やかで丈夫とされる。度重なる出走に耐えて値段も安かったため、財源確保のため戦後各地で開設された地方競馬の主力になった。
 地方競馬全国協会によると、地方競馬のアラブ馬の登録頭数は1971年、1万3246頭に達した。しかし経済成長とともにサラブレッド馬の登録が増え、人気もシフト。95年には日本中央競馬会(JRA)がアラブ馬単独レースを廃止し、各地の地方競馬も続いた。アラブ馬の生産頭数は2007年、ゼロになった。(中国新聞)

2012年8月16日木曜日

ユニシス、日本中央競馬会の競走馬トレーニングセンターに新センサー導入



 日本ユニシスは815日、日本中央競馬会(以下、JRA)から、競走馬トレーニング・センターの「坂路調教タイム自動計測システム」(Advanced Lap time Information System)のセンサー部の更改を受注し、201112月に美浦トレーニング・センター、20125月に栗東トレーニング・センターで稼働を開始したと発表した。
 ユニシスはこれまでALISのソフトウェア開発を担当していたが、今回、ALISの計測機器(センサー部)を受注したことで、ALIS全般業務を担当することになった。
 JRAは、競走馬トレーニング・センターを茨城県の美浦と滋賀県の栗東に設け、競走馬のトレーニングを実施しており、ウッドチップが敷き詰められた坂路コースでは、200mごとのハロン地点にセンサーを設置して、競走馬の調教タイムを計測している。
 新センサーでの計測方法は、ICタグを競走馬に装着し、各ハロン地点に設置した受信機にて、ICタグの電波を受信してタイムを算出するというもの。
 新センサーは、以前のバーコードセンサーに比べ、機器設置の設備費用の軽減により、簡単に導入することが可能。ICタグは、セミアクティブ方式のRFIDを採用することで電池の寿命が長く、長期にわたり滞在する全競走馬にICタグを配布して計測する運用に適しているほか、雨天・濃霧、雪などの悪天候による影響をほとんど受けず、計測率はほぼ100%に向上したという。(マイナビニュース)

2012年8月15日水曜日

山口勲騎手(佐賀)地方競馬通算3000勝達成


 山口勲騎手(42歳、佐賀・東眞市厩舎)は、815日(水)佐賀競馬第3競走をツクバライジンオー号(単勝1番人気)で優勝し、1987年(1018日佐賀競馬第9競走)のデビュー以来、16,242戦目にして地方競馬通算3,000勝を達成した。
 地方競馬では史上21人目、現役では14人目(JRAへ移籍した騎手を含む)の快挙となる。
 山口騎手は、1987年(昭和62年)に佐賀競馬場でデビュー。2010年には九州地区所属騎手としては25年振りとなる地方競馬全国リーディングに輝くなど、地方競馬を代表するジョッキーとして活躍。地元佐賀では2006年から2011年まで6年連続でリーディングを続け、本年も133勝(8/14現在)とトップを走っている。(Keiba.go.jp

   【山口勲騎手の主な重賞勝ち鞍】
96年 アラブ大賞典(佐賀) グレートマルゼン
03年 エーデルワイス賞(門別) エスワンスペクター
04年 霧島賞(荒尾) ベルガモットシール
10年 九州ダービー栄城賞(佐賀) メイオウセイ
95年、03年中島記念 など計40  

2012年8月12日日曜日

佐賀競馬3年ぶり黒字 経営安定へ工夫必要


 苦しい経営が続く鳥栖市の佐賀競馬の2011年度決算は、3年ぶりの単年度黒字となる見通しだ。しかし、経営が「自転車操業」の状況にあることには変わりない。安定した収入を確保するために、新たなファンの獲得を目指す取り組みが求められている。
 「九州の各高速道を接続する鳥栖ジャンクションに近い良い立地で、馬を間近に見ることもでき、子どもたちも喜ぶ。ただ、もう少し明るい雰囲気だったら来やすいのですが……」。7月下旬、競馬ファンの夫(32)とともに、2歳と4歳の女児を連れて佐賀競馬場を訪れた長崎県佐世保市の主婦(33)は、施設の印象について、こう語った。
 同競馬場は1972年に、佐賀市から現在地へ移転し、県と鳥栖市でつくる県競馬組合が運営している。組合は97年度までに、総額で県に約176億円、同市に約38億円の配分金を交付するなど、自治体財源の一翼を担ってきた。
 だが、バブル景気の崩壊とともに、レジャーの多様化やギャンブル離れを背景にして、売り上げは落ち込んだ。2006年度には最大35億円の積み立てがあった基金が底をついたほか、10年度には累積赤字額が約2億4800万円にまで拡大。競馬場(本場)への来場者数も、ピーク時の1997年度の1日平均約7100人から昨年度は約3300人と半減以下となっている。
 2011年度の決算概要では、歳入の柱となる馬券売り上げは、本場での発売成績が前年度比8・2%減と大幅に落ち込んだが、インターネット販売の好調さを受けて、前年度比ほぼ横ばいの約102億円を確保した。歳出面では馬主らに支払う賞金や手当を同比で約15%削減するなど、歳出削減を行い、約3400万円の単年度黒字を計上した。累積赤字は圧縮されたものの、同組合は「景気の先行きが不透明で、売り上げは今後も厳しい状況が続く」と危機感を募らせている。
 経営安定化のためには、経費節減に加え、新たなファン層の開拓や、競馬場の魅力作りが欠かせない。
 最大25億円の累積赤字を抱えながらも、経費削減などの経営改善により09年度に実質収支が黒字に転じた浦和競馬(さいたま市)。近隣の地方競馬場との連携に加え、外注していた施設内のカーペットの張り替えから場内の草取り、花壇の設置に至るまで、職員ができることは自前で取り組むなど、徹底的な経費節減に取り組んだ。
 また、開催日以外は、子どもたちがサッカーをしたり、近所の住民が散歩をしたりできるように場内を公園として開放している。
 運営する埼玉県浦和競馬組合の菅野明雄総務課長は「馬券売り上げに直結しなくても、これまで競馬に親しんでいなかった人や若い世代が将来的に興味を持ってもらうように工夫してきた」と振り返る。地方競馬全国協会の留守悟企画部長も「インターネット販売は伸び悩む傾向にあり、本場のにぎわいを取り戻す努力が不可欠」としている。
 佐賀競馬は、昨年12月に荒尾競馬(熊本県荒尾市)が廃止されたことで、九州唯一の地方競馬場となった。
 余暇社会学が専門の江戸川大学の米村恵子教授は「カップルや家族連れが親しみを持てる場として演出し、ギャンブルだけが目的ではないライトなファンを増やすことが重要だ」と指摘する。ギャンブル場としての独特なイメージを払拭し、九州唯一の地方競馬場として、来場者や地元住民が気軽に親しめる施設への脱却を図ることが、経営改善の第一歩となりそうだ。(よみうりしんぶん)

【写真】経営改善に向けて模索が続く佐賀競馬場