福山市は23日の市議会競馬事業特別委員会で、福山競馬の2012年度第1四半期(4~6月)の収支が1085万円の赤字だったと明らかにした。売上高は前年度同期比18%減と大きく落ち込み、7月以降も赤字傾向が続くとみられる。事業存続の条件である単年度収支の黒字確保に向けて厳しさが増している。(佐藤行彦)
◇7、8月も厳しい状況
市によると、第1四半期の売上高は17億9290万円で、前年度同期から約3億円落ち込んだ。一日あたりの売上高は7795万円で、前年度同期は9512万円だった。JR福山駅前などの場外馬券場は黒字を維持したが、競馬場内の赤字が1億円を上回った。入場者は3万5448人で、6・8%の減だった。
第2四半期に入った7、8月は、売上高が同6・5%減と減少幅は狭まったが、猛暑が続いたため、入場者数は10%減と、さらに落ち込んでいる。
昨年度の第1四半期は、東日本大震災で東日本の多くの競馬場が休止した影響でインターネット販売が急伸、4242万円の黒字だった。通常は第1四半期の収入はあまり伸びず、正月開催でにぎわう第4四半期で盛り返すという。
今年は10月から日本中央競馬会(JRA)が実施しているネット会員対象の馬券販売に地方競馬が加わる予定で、市競馬事務局は、秋から冬にかけて、売り上げの回復が期待できるとする。
しかし、福山競馬の競走馬の在籍頭数は昨年の同時期から22頭少なく302頭になり、レース編成はぎりぎりの状況。厩務(きゅうむ)員が昨年5人減るなど、各厩舎(きゅうしゃ)の負担も増え、今後も厳しいレース運営が続くという。
委員会では、「第2四半期以降の具体的な事業の見通しは」「外部有識者を招聘(しょうへい)して改善策を検討することや、入場料を無料化してはどうか」などの質問や意見が出たが、杉原郁充・同事務局長は「意見を踏まえて引き続き最大限の努力をして単年度収支の黒字化を図る」と答弁するにとどまった。
同競馬の調教師と騎手でつくる県調騎会の徳本慶一会長は委員会を傍聴し、「厳しい数字がでることを覚悟していた。黒字化のために、会としてやれることは何でもやりたい」と話した。(読売新聞)