尼崎市の園田競馬場で9月7日、関西初の「ナイター競馬」が始まる。存廃を取りざたされる同競馬場の約9億円かけた起死回生策だ。地元の反対で当初予定より5カ月遅れての開催となるだけに、兵庫県競馬組合は防犯カメラの設置や警備員の増強をした上、客には「住宅街を歩かず、送迎バスで帰って」と呼び掛けるなど、“環境対策”にも配慮する。
24日夜、同競馬場で、新設した照明設備の試験点灯があった。1周1051メートルの走路を囲む高さ約15メートルの照明柱40本がともり、馬場が鮮やかに浮かび上がった。照明柱の水銀灯は全て自家発電。トイレは改修し、売店の数も増やした。
今年のナイターは9月7日から11月9日の金曜日で、計10回を予定。最終レースを午後8時半に設定し、会社帰りのサラリーマンなどを呼び込む狙いだ。
地方競馬全国協会(東京都)によると、中央競馬でナイターはなく、地方競馬では6番目。同協会は「ナイターは中央競馬やほかの地方競馬との競合が少なく売り上げ増が見込める」と話す。
収支改善の切り札と期待されるナイター。しかし、昨年、説明を受けた地元からは「客が公園でたむろしたり、路上にごみを捨てたりしないか不安」と反対の声が上がった。一部が知事や市長に中止を求め、当初予定した今年4月開催が延期される事態になった。
対応策として、組合は警備員を137人用意。午後8時ごろのメーンレース発走後、住宅街に通じる正門を閉じ、2カ所に増やした送迎バス乗り場に客を誘導する。住宅街には約80カ所に街灯を付ける。
北園田福祉協議会の溝川芳夫会長(67)は「住民の要望を受けて配慮してもらっていると感じるが不安も根強い。ナイター開催日には住民パトロールもする予定」と話す。
同組合の松谷全隆事務局長は「住民との話し合いは今後も続ける」とし、「新しいファンを開拓し、反転攻勢に出たい」と期待を寄せている。(神戸新聞)
【写真】ナイター開催に先立ち、新設された照明設備が試験点灯された園田競馬場=24日夜