JRAへの賃料など約1億5000万円を削減、札幌開催の撤退も検討。
北海道軽種馬振興公社は28日、札幌競馬場でのホッカイドウ競馬(道営競馬)場外発売を今年度の最終開催(11月19日)で終了することを明らかにした。
239億円の累積赤字を抱える道営競馬は、来年度の単年度収支を赤字ゼロに改善しなければ、廃止を余儀なくされる。
道は今年度からの開催業務を振興公社に委託。昨年度で旭川開催を終え、主戦を門別開催(全ナイトレース76日間)にシフトし、施設賃貸料や出走馬の移送費用など数億円を削減した。また、初期投資や運営経費の負担が少ない民間活用型のミニ場外を道内4カ所に開設させるなど、コスト削減と効率化を図っている。
道営競馬の10月28日(累計72日間)までの売り上げは約99億7900万円。このうち札幌競馬場の場外発売額は約3億4000万円、前年同期より約34%減少した。
振興公社は「景気の低迷により、札幌圏全体の売り上げが落ちている。札幌競馬場の場外発売の運営には、JRA(日本中央競馬会)への賃料や人件費、清掃費など年間1億5000万円程度の費用が掛かっている。また、ほかの場外発売所とは違って、道営のオフ期間に南関東の馬券も発売できないので、冬には人が来ない。競馬場に近いJR琴似駅前に民活ミニ場外を開設したことによって、札幌競馬場での場外発売を終了しても、利用していたファンに迷惑が掛からないと判断した」と説明する。
4月に開幕した札幌開催(6日間)の売り上げは、計画比88.5%(約7億2100万円)にとどまった。主戦を門別に移した影響で、門別のレースに照準を合わせて調整する馬が増え、出走馬が集まらずに計画のレース数を消化できなかったためだ。
こうした経緯から、道や振興公社は今後、札幌開催からの撤退も視野に来年度の開催計画を策定する。ただ、道競馬事業室は「札幌から撤退すれば開催経費や馬の移送費などは軽減されるものの、人口の多い札幌で多くの人が競馬を生で見る機会が減り、新たなファンの掘り起こしという点ではデメリットとなる」と慎重な姿勢だ。(北海道365)