2010年7月5日月曜日

日本の教え胸に…朴騎手ラストレース 荒尾競馬


 日本の騎乗技術を学ぼうと荒尾競馬(荒尾市)で武者修行中だった“韓流ジョッキー”朴在鎬[パクゼホ]さん(31)が9日、ラストレースを迎える。3カ月間に51回騎乗し、3勝の成績。「レース展開と精神力の大切さを学んだ」という朴さんは、教えを胸に荒尾最後の馬場に挑む。

 朴さんは韓国釜山競馬所属。荒尾では崎谷彦司調教師(55)の厩舎[きゅうしゃ]に所属し、日々の調教やレースで腕を磨いた。手には常にメモ帳と電子辞書。「調教師や騎手の皆さんから、知らないことは何でも教えてもらった」と話す。

 崎谷さんは「とにかく数を乗ってもらった。レースのペース配分や展開をつかむ力は上がったと思う」。その上で「絶対に負けないという精神力が必要。優しい性格がレースに出てしまうので、強い気持ちで勝負にいかんと」とハッパを掛ける。

 崎谷さんも、荒尾競馬で18年間騎手生活を送った。騎手の心得やムチの使い方など、経験から言える言葉を書き留めたメモを、ハングルに訳して託した。「馬に折り合って乗る」「敵馬の動きをよく見、自分の馬の動きをよく知る」-。朴さんの教科書だ。

 朴さんは12日に帰国予定。今後は日本以上に競馬人気が高い韓国で手綱を握る。「荒尾での経験を生かしたい」と朴さん。崎谷さんは「今年中に一度、活躍を見に行くつもり。しっかり頑張ってくれよ」。笑顔で送り出すつもりだ。(くまにちコム)
【写真】調教に向かう朴在鎬騎手に声を掛ける崎谷彦司調教師=荒尾市