インターネットが地方競馬を救ったようだ。JRA(日本中央競馬会)ネット投票システムの本格利用が可能になった昨年度、佐賀競馬は2億円を超える黒字を生み出し累積赤字解消も視野に入った◆バブル崩壊の頃から凋落(ちょうらく)が続いてきただけに、うれしいニュースである。関係者からは「奇跡的に生き返った」と弾んだ声が聞かれた。ネットで馬券を買えるようになって競馬ファンの行動は一変した。赤鉛筆を耳に挟んで、といったイメージはもう古い◆今は自宅で情報端末を駆使してデータを分析する姿が浮かぶ。競馬場にとって全国のファンを顧客にできるメリットは大きい。ネット投票による売り上げは全体の6割近くを占めるまでになった。全国の地方競馬の全てが黒字になったのも、そのおかげである◆ここまでの間に廃止されるところが増え、佐賀競馬は公営で九州唯一になった。長いトンネルの時代をコスト削減で乗り切るのは、並大抵の苦労ではなかったろう。ただ、売り上げはピーク時の4割に満たない。さらにレースやイベントなどの魅力を高める工夫がいる◆8月は10日間の開催が予定され、お盆すぎには中央・地方交流レースのサマーチャンピオンもある。この猛暑に勝つ馬こそ真の王者。砂のコースを力強く駆け抜ける馬の姿に、地方経済の復活を重ねたい。(佐賀新聞)