27日で幕を閉じる(6日、福山市千代田町の市営福山競馬場で) 福山市営競馬場(福山市千代田町)で開催している、国内で唯一のアラブ馬だけの単独レースが27日、幕を閉じる。在籍頭数がピーク時の10分の1以下の40頭となったためで、同競馬場の開設から60年間、支え続けてきたアラブ馬レースの終了を、関係者やファンらが惜しんでいる。
同競馬場は1949年9月の開設時から、すべてのレースをアラブ馬のみで開催。85年から約3年間で1億5000万円以上の賞金を獲得した、最強のアラブ馬と言われた「ローゼンホーマ」を輩出するなど、80年代には700頭以上のアラブ馬が在籍していた。
だが、全国的に競走馬がスピードのあるサラブレッドへ切り替えられるようになる中、アラブ馬の生産が激減。福山市競馬事務局によると、05年にサラブレッドを導入して以降も、力強い走りを見せるアラブ馬の単独レースは根強い人気を保っていたが、40頭では1日4レースが限界で、単独レースを組んでいくのが難しくなったのだという。今後はサラブレッドとの混合レースなどを企画する。
ローゼンホーマの騎手を務め、現在も調教師として同競馬場で働く那俄性(ながせ)哲也さん(48)は「時代の流れなので仕方ないが、長年アラブ馬を見てきたのでさみしい」と話していた。
同競馬場では27日、最後の単独レース「開設60周年記念アラブ特別レジェンド賞」を開催する。同事務局の菅原行雄業務課長は「日本でアラブ馬だけのレースが見られるのはこの日が最後。多くのファンに、最後の雄姿を見てほしい」と呼び掛けている。(読売新聞)