2011年8月25日木曜日
赤字続く荒尾競馬、本年度で廃止 荒尾市が方針
累積赤字13億6千万円を抱える荒尾市の荒尾競馬について、競馬組合(市と県による一部事務組合)を管理する市が本年度限りで廃止する方針を固めたことが24日、分かった。組合管理者の前畑淳治市長が近く、蒲島郁夫知事に方針を伝える。
市は2009年、学識者らによる荒尾競馬の「あり方検討会」から「09~11年度の収支状況、将来の見通しをもって判断することが妥当」との提言を受け、11年度中に結論を出すとしていた。
前畑市長は6月、「10年度決算は13年ぶりに約4300万円の黒字だったが、赤字構造から脱却できていない。出走馬が減り、レース編成にも苦慮。全国的に販売状況は厳しく、将来の展望が見えない」と表明。
市は6~7月、調教師や騎手、厩務員、馬主の代表からのヒアリングや、住民懇談会も開いたが、事業を継続できる好材料は見いだせなかった。10月には来年度の競馬開催の認可申請準備に入る必要があるため、9月市議会を前に廃止の方針を決断したとみられる。
荒尾競馬は1928年2月に開設。現存の地方競馬では最も長い歴史を持つ。55年からは市と県による一部事務組合が運営。69~98年度は売得金が100億円を超え、市と県に累計約91億3200万円を繰り入れるなど財政に寄与した。だが、三池炭鉱閉山後の98年度以降は赤字に陥った。
現在、在厩馬は約270頭。廃止に伴い、所属騎手13人と調教師14人をはじめ、厩務員ら関係者約180人が職を失う。市内への経済波及効果は約9億円と試算されており、地元経済への影響も懸念される。
全国に16ある地方競馬はいずれも売り上げ低迷で存続の危機にあり、馬券の相互発売などで協力し合っている。荒尾の撤退は「九州競馬」を構成する佐賀競馬(鳥栖市)はじめ全国の競馬場にも打撃を与えそうだ。(熊日新聞)
【写真】レース前、厩務員に引かれパドックを歩く競走馬。スタンド、事務棟など、施設も老朽化している=24日、荒尾市の荒尾競馬場