◆一審勝訴も足並み乱れ
笠松競馬場(岐阜県笠松町)をめぐって一部の地主が土地の明け渡しなどを求めた訴訟で、11月に入って11人の原告が相次いで訴えの取り下げ申請をしていたことが分かった。被告の県地方競馬組合による名古屋高裁への控訴後、取り下げた原告は計14人に上っており、足並みが大きく乱れてきた。
訴訟は一部地主が2006年6月に岐阜地裁に提訴した。今年5月の地裁判決時点での原告は86人。このうち8月に2人が、9月には1人が一審で勝訴しながら、提訴を取り下げた。
11月11日には、一部の原告を含む地主約80人が、請求棄却を求める要望書を名高裁に提出。同時期に競馬関係者が原告の説得を始め、17日に4人が一度に取り下げて以降、連日のように取り下げ申請が名高裁に届いている状態だ。
新たに訴えを取り下げた原告の1人は「原告代表者の説明では、地代を上げる訴訟だったはず。しかし、岐阜地裁の判決や報道で、明け渡し請求と知り、取り下げを決めた」と話す。
原告代理人の異相武憲弁護士は「取り下げによって大勢に影響はない。原告には説明しており、提訴から何年もたって(訴訟の趣旨を)知らないと言うのは大人げない」としている。
【笠松競馬場訴訟】 岐阜地裁は5月、土地の明け渡しと賃料の増額を命じ、6月に競馬組合側が控訴。名古屋高裁は9月、和解を勧告し、協議が続くがめどは立っていない。敷地28・9ヘクタールの競馬場のうち訴訟対象は走路を含む約30%。大部分が開発の規制された市街化調整区域のため、廃止となれば跡地利用は難しい。訴訟に参加していない地主や競馬関係者の生活を破たんさせるとして、土地明け渡し請求が権利の乱用かどうかが争点の一つとなっている。(中日新聞)