巨額の累積赤字を抱え、一時は存廃が議論された名古屋競馬(名古屋市港区)の2008年度収支がまとまり、4年連続の黒字を計上する見通しとなったことが分かった。ただし、黒字幅は前年度比6分の1程度まで減少しており、いわば“ハナ差”での黒字。運営する県競馬組合は「魅力的なレースの誘致や快適な観戦環境整備を進めて集客を図りたい」と躍起だ。
08年度の馬券売上総額は前年度比1・1%減の185億7200万円。インターネット販売が同23・5%増の36億8200万円と好調だった一方、同競馬来場者による本場売り上げは同13・9%減の50億6200万円だった。
ネット販売では売上額からネット業者への手数料が差し引かれるため、実質的な黒字額は、前年度の6300万円から1000万円まで減少する見通し。黒字を維持したものの、収支均衡に近い状態まで落ち込んだ。累積赤字は1億6500万円減の36億9800万円となる。
名古屋競馬は、04年度までは13年連続で赤字を計上し、一時存廃論議が浮上した。これを受け、05年度からの3年間で再建計画が実施され、同年から連続して黒字を達成。一昨年12月に神田真秋知事が08年度以降の存続を決めた。(中日新聞)
同組合は今年、観戦スタンドの改修や馬場の砂の入れ替えなど、ハード面を充実させるほか、11月には地方競馬最大のレース「JBC競走」を開催する。
同組合は「今年は名古屋競馬開設60周年に当たり、一層の収支好転の契機にしたい」と話している。