◇英・米経験「バーナスコーニ」
東京23区の一部事務組合が運営する大井競馬(東京都品川区)に国内唯一の海外競馬出身馬が所属、出走を重ねている。07年度導入の転入制度に基づく「黒船第1号」として08年4月にデビューしたが、国内馬産地の反発は根強く、追随する馬が一頭もないまま1年がたった。11戦1勝と成績は平凡ながら、孤独なパイオニアは走り続けている。
この馬は米国ケンタッキー州生まれのサラブレッド「バーナスコーニ」(去勢したオス、5歳)。アラブ資本の競走馬生産グループ「ダーレー」の牧場が生産した。英国で07年1月にデビューし2戦1勝、米国に移って5戦1勝した。大井競馬場の施設を所有する第三セクター・東京都競馬株式会社(中央区)が買い、大井へ転入させた。
大井競馬は91年度の1937億円をピークに売り上げ減少が続いており、打開策の一つとして、新制度導入に踏み切った。年間10頭以内との制限を設けたが、「死活問題」とみる馬産地側は、導入直前の07年2月に大井で抗議集会を開くなど猛反発した。
大井競馬は転入する海外馬1頭につき輸送費分の600万円を馬主に補助するが、検疫のためデビューまで半年ほどかかる。円高で海外馬の値段は下がっているものの不況もあってか、新たに導入する馬主は出ていない。大井競馬の塚田修・事業推進部長は「国内外の馬が競い合えばファンにとって面白いだろうと考えた」と語る。
一方、国内最大の馬産地・北海道の日高軽種馬農協(浦河町)は「不景気で馬産地は厳しい状況にある。日本の競馬は日本の馬でやってほしい」(川越敏示参事)と訴えている。(毎日新聞)