2009年7月29日水曜日

「場外舟券発売場」是非で揺れる地元 地域振興か環境悪影響か 31日開票


岐南町上印食南地区 自治会主導で住民投票

 羽島郡岐南町上印食南地区で民間会社が計画している競艇場外舟券発売場(ボートピア)建設の賛否を、地元自治会の住民に問う投票が始まった。賛否両論がある中、自治会が住民の総意を投票で確かめることにした。地域活性化の起爆剤にと期待する賛成派に対し、生活環境への影響を懸念する反対派。31日の開票を前に小さな自治会が揺れている。 同発売場の設置は国土交通省が許可する。許可には▽地元自治会の同意▽町議会が反対決議をしない▽町長の同意―の3条件が必要。自治会は同地区の約80世帯を対象に賛否を問う投票で、過半数を得た方を地元の意思とすることを決めた。

 同地区はパチンコ店や飲食店が集中する商業拠点だが、現在は沈滞気味。そうした中で持ち上がった同発売場建設計画を地域の活性化につなげようとしているのが賛成派だ。

 計画では1日の来場者数1900人、年間100億円の売上金を見込んでおり、その1%を環境整備費として町に交付するという。賛成派はメリットを前面に出し、建設の賛否に関心の薄い、いわゆる“無党派”へ戸別訪問などを行っている。賛成派の60代男性は「このままでは、この地区は何も変わらない。建設によって街灯や道路の整備、雇用などが期待できる」と歓迎する。

 一方、反対派は「ボートピア岐南(仮称)設置に反対する会」を結成し、各世帯に反対を求めるチラシを配布。同会の60代男性は建設予定地近くに小学校があり、通学路にもなることから「子どもたちの育成や交通問題など将来に不安を残すことはいけない」とし「環境整備費は町の財源になるが、迷惑を被る地区へ有効に使われるとは限らない」と強調する。

 隣接する同郡笠松町にある笠松競馬場の運営に影響を与えるとして、6月町議会で建設反対を表明した松原秀安町長は「賛成、反対いずれにせよ、住民同士に遺恨が残らなければいいが…」と困惑。「地元住民の同意はもちろんだが、町議会と競馬関係者の三者すべてが理解をしない限り、賛成はできない」と同競馬場副管理者の立場を崩していない。

 同地区外の町民は「町の財政が潤うなら賛成」「ギャンブルに頼ったまちづくりはいかがなものか」など意見はさまざまだが、関心は低くまだ“対岸の火事”といったところ。同自治会の中里耕治会長は「小さな自治会だけで考える問題なのか疑問だが、早く公正に意思を示したい」と、過熱した論争の収束を願っている。

(佐竹直人)

【岐南町の競艇場外舟券発売場(ボートピア)】
建設計画 民間の施設運営会社(岐南町)が上印食南地区で、延べ約4500平方メートルの建物と約600台分の施設駐車場約1万4千平方メートルの整備を計画。1日の来場者数1900人、年間100億円の売上金を見込んでいるという。ボートピアは現在全国32カ所で運営されており、県内での設置はない。(岐阜新聞)

<写真>羽島郡岐南町上印食南地区で計画されている競艇の場外舟券発売場建設予定地