2011年9月6日火曜日
荒尾競馬の年度内廃止を正式表明 荒尾市長
荒尾競馬組合管理者の前畑淳治荒尾市長は5日、累積赤字13億6千万円を抱える荒尾競馬を本年度限りで廃止すると正式表明した。レース開催は年内で終える方針。清算費用には、2013年度が発行期限の「第三セクター等改革推進債」(三セク債)などを充てる考えだ。地方競馬の廃止は、2005年の宇都宮競馬(栃木)以来となる。
前畑市長は同日開会した定例市議会の冒頭、「競馬事業の将来見通しや市財政への影響、市民や競馬関係者の意見・実態などから、断腸の思いではあるが廃止の決断をした」と表明した。
荒尾競馬の現状については「存続させたいと経営改善に努力してきたが、売り上げ減に歯止めがかからず、市の貸付金で資金繰りしている。今後回復基調に転じて財政貢献を果たすことは困難」と説明。今後のレース開催に関しては「競馬関係者の新しい環境への準備期間などを考慮し、12月をもって閉鎖。離職者対策に全力で取り組みたい」と述べた。
荒尾競馬は1928年2月に開設。55年からは市と県による一部事務組合が運営している。75~98年度には売得[ばいとく]金が毎年100億円を超え、市と県に累計約91億3200万円を繰り入れたが、三池炭鉱閉山後の98年度以降は12年連続赤字だった。
10年度決算は13年ぶりに約4300万円の黒字となったが、市は「赤字構造から脱却できず、将来の展望が見えない」として廃止方針を固めていた。
前畑市長は同日朝、蒲島郁夫知事に電話で廃止の方針を伝えた。市は今後、廃止に伴う予算案などを作成し、組合解散や財産処分についての議案とともに市議会へ提出する。騎手、調教師、厩務[きゅうむ]員らの見舞金や再就職などについての協議にも着手する。(熊日新聞)
【写真】荒尾競馬の廃止を正式表明する前畑淳治市長(中央)=5日午前、荒尾市議会議場