2011年9月27日火曜日

皇成元師匠・河野師、暴力団交際で追放

 GIシーズン開幕直前に、競馬界に衝撃が走った。JRAは26日午後、東京都港区の六本木事務所で緊急会見を開き、茨城県美浦トレーニングセンター所属の河野通文調教師が、暴力団関係者と交際があったとして、同日付で調教師免許を取り消したことを発表した。

 冒頭、緊急に会見を開いた内容を説明すると、出席した小林善一郎審判担当理事、尾関道春審判部長、菊田淳審判部公正課長が「今回の件で世間をお騒がせしたことについて、ファンの皆様、関係者の皆様に深くお詫びいたします」と深々と頭を下げた。

 JRAによると、今年3月31日の報道(別項)などで河野調教師が指定暴力団山口組系組幹部から1000万円をだまし取られた事件を知り、公判の傍聴、調教師への事情聴取などを重ねてきた。その結果、菊田公正課長は「暴力団関係者と浅からぬつきあいがあったと認めざるを得ない」として裁定委員会、公正審査会議を経て処分を決定したことを明らかにした。

 さらに、小林理事は「河野調教師は暴力団員と認識しながら交際を途絶することはなかった。調教師は少なくとも公正確保の重い責任があり、(暴力団関係者を)排除すべき立場の者で、JRAとして容認できることではない」と話した。

 JRAの調査では、河野調教師が暴力団関係者と知り合ったのは2006年頃。遅くとも09年頃には知人を介して暴力団関係者であることは認識していた。そして、10年7月30日に暴力団関係者から1000万円の借金の申し入れがあり、大阪・伊丹空港まで持参したという。菊田公正課長は「交際の深さを判断するのは難しいですが、即日、大阪まで持参するのは尋常ではない。2人の交際が形式的なものではなく、公正かつ安全な競馬の施行に支障を生じるということで、免許取り消しが相当と判断した」と厳正な処分を科した理由を説明した。

 河野調教師は1991年に厩舎を開業し、05年のGI安田記念をアサクサデンエンで制覇するなどJRA重賞11勝、通算493勝を挙げている名調教師。それと同時に、タレントほしのあきさんと25日に結婚したばかりの三浦皇成騎手の元師匠としても知られている。

 折しも10月1日から暴力団排除条例が東京都で施行する。タレントの島田紳助さんが山口組系組幹部と交際していたことが明るみに出て芸能界を引退するなど、全国的に暴力団との交際に対する目が厳しくなる中での今回の発表だが、条例との関連性について、小林理事は「JRAとしては以前から反社会的分子を排除する努力をしてきたものであり、条例の施行とは関係ない」と否定している。(サンケイスポーツ)