2010年10月7日木曜日
高橋はるみ知事が事業の存続表明、年度内に長期ビジョンを策定
昨年度まで242億円の累積赤字を抱え、事業廃止の危機に瀕していた「道営ホッカイドウ競馬」が、来年度以降も存続することが正式に決まった。
高橋はるみ知事は、6日に開かれた道議会予算特別委員会で、今年度の収支が赤字だった場合、廃止する見込みだった競馬事業を、収支均衡の公算が大きいことなどから存続させる意向を表明した。
道は、ホッカイドウ競馬を赤字体質から脱却させるため、2008年3月に「北海道競馬改革ビジョン」を策定、さまざまなコスト削減や発売拡大策を講じてきた。改革ビジョンに示した単年度赤字の解消期限は3年間。最終年となる今年度は、札幌開催を休止、全レースを門別競馬場(計80日間)に集約し、収支均衡を目指している。
収支均衡のために必要な今年度の目標(発売計画額)は119億5000万円。9月末時点(計59日間)の発売額は、前年同期比98.8%の79億9400万円にとどまっている。
ただ、総収入には南関東競馬などの馬券販売で得られる業務協力金や昨年度の繰越金などがわる。また計画よりも発売が少ないため、払戻金や場外発売所使用料などの支出が減少する見込みで、今年度の収支はほぼ均衡する見通しだ。
道競馬事業室は「改革ビジョンに基づいた取り組みによって赤字体質の転換が進み、収支均衡が見通せる段階まできた。また全国的な動きとして、来年度から全国16の地方競馬主催者が共同で馬券を販売する新システムを導入することが検討されており、ホッカイドウ競馬とJRA(中央競馬会)の相互販売に向けた協議も進んでいる。ホッカイドウ競馬の重要性と収支均衡、発売環境の強化などを総合的に判断して来年度以降の存続が決まった」と説明する。
競走馬の生産は日高・胆振管内の基幹産業として、地域の経済や雇用に寄与している。またホッカイドウ競馬からは多くの馬が中央・地方競馬に移籍しており、日高・胆振の馬産地は競走馬の供給基地としての役割を果たしている。
高橋知事の存続表明を受け、三輪茂日高町長は「日高、胆振の経済、雇用、観光が守られ、馬産地の人が救われたことに安堵している。来年度以降については、道が期限や条件を設けずに安定的、継続的に競馬事業を運営していく方針を示すことが大事だ」と語った。
道は来月、知事の付属機関で専門家らが道営競馬のあり方を考える「北海道地方競馬運営委員会」を開き、来年度以降の事業内容を検討する。「単年度ではなく長期的な視点から競馬事業の新たなビジョンを年度内に策定する」(道競馬事業室)方針だ。(北海道365)
【写真】昨年4月に増設された門別競馬場のスタンド(通称「ポラリス☆ドーム」)