日本中央競馬会(JRA)が来年4月に場外馬券売り場を浜松市中区の商業ビルに開設することが14日分かった。地元関係者によると、市や浜松中央署、地元自治会とほぼ合意に至ったという。浜松市は郊外の大規模商業施設に客足を奪われ、中心部が空洞化するドーナツ化減少が顕著で、駅周辺の“にぎわい創出”が急務となっている。
JRAが浜松市に開設する場外馬券場は「エクセル」と呼ばれ、利用者を先着順に限定する有料定員制の売り場。土曜と日曜の両日のみ開かれ、座りながらレースの様子をモニターでみることができるのが特徴だ。
JRAは浜松駅から徒歩5分程度の商業ビル「かじ町プラザ」の4階に売り場を設けることで地権者と合意。定員を800人とし、払い戻し機械は入り口の外に設けることで設計に入ったという。
地元、鍛冶(かじ)町の関係者は「JRAは来年5月の日本ダービーに間に合わせたいと話している」といい、来年4月下旬にはオープンの予定だ。地元周辺も「人が集まるなら」と歓迎しているという。
かじ町プラザでは、イトーヨーカドーが平成19年に撤退。パレマルシェも21年にわずか7カ月で撤退し、広大な空きスペースが残った。周辺も13年に閉店した老舗百貨店「松菱」の跡地に大丸が23年秋開業で出店の予定だったが、投資に見合う収益が見込めないとして断念、跡地はそのままになっている。
「エクセル」誘致は消費低迷が続く衣料や雑貨ではない「新たな試み」と評価される半面、「風紀上、問題」「土日開催のため、集客効果は限定的」との声もある。場外馬券売り場に集まる人をどう地域の活性化に結びつけるか。地元と周辺を巻き込んだ議論がさらに必要になりそうだ。JRAは「検討中。具体的な案件の状況についてはコメントを控える」と話している。()