2011年4月14日木曜日

水沢開催を当面見送り 岩手競馬、存続の危機

 県競馬組合(管理者・達増知事)は、東日本大震災で大きな被害を受けた水沢競馬場について本年度の開催を当面見送ることが13日、分かった。全壊した釜石場外馬券場は再建しない方向。組合全体の被害額は10億円を超える見込みで、地方競馬全国協会(地全協)に支援を要請しているが、5月14日の盛岡競馬場での開幕には復旧が間に合わない可能性が高い。来週にも正副管理者会議を開き対応を協議するが、売り上げの大幅減は必至。岩手競馬の存続が厳しく問われるのは確実だ。

 同組合によると、釜石場外は津波の直撃で全壊し被害額は6億円に上る。水沢競馬場は屋内観覧席などで床のひび割れや天井が落ちるなどして3億円の被害。宮古場外は浸水による機器損傷で750万円、三本木場外(宮城県大崎市)も数千万円の被害を見込む。

 7日の余震でも合わせて約1億円の被害が出ており、精査中だ。

 これに対し、自己資金がない同組合は、地全協に支援を要請中。阪神大震災の際に被災競馬に復旧費の9割の補助が出たケースもあり期待している。

 ただ、支援を受けられても水沢競馬場は大規模な耐震補強工事が必要で「開催できても本年度の後半」(同組合)の見通し。被災した場外施設も復旧工事を考慮すると、5月14日の開幕に間に合わせるのは「難しい状況」(同)で開幕を遅らせる可能性もある。

 一方、開催しても売り上げの減少は確実。釜石場外がなくなるほか、宮古場外も被災地感情を考慮して、再開を当面見合わせる方向。震災による消費の減退もあり、競馬全体の売り上げが大幅に落ち込む可能性もある。

 同組合は本年度、179億円の売り上げを見込んでいた。既に水沢競馬場の3開催(18日間)を中止し開幕を延期しており、売り上げの大幅修正は必至。県など構成団体は、単年度収支均衡ができなければ廃止という存廃基準を掲げるが、コスト削減も限界に近い。

 同組合の高前田寿幸副管理者は「まずは地全協の支援を受けて復旧できるかが第一だ」とする一方、「仮に復旧できても収支均衡の問題や、震災の中で競馬をすることの是非もある。継続の道を探るが、多くのハードルがあるのも事実で今後検討する」としている。(岩手日報)