2011年6月24日金曜日

馬でナイター開催検討 赤字で存続危機 


 兵庫県競馬組合が、収支改善策として、尼崎市の園田競馬場でナイター開催の検討に入り、地元への説明を順次始めている。2010年度単年度収支が赤字に転落し、競馬事業の廃止が現実味を増す中、同組合の米沢康隆事務局長は「ナイターは最後の切り札。実施しない限り、存続は難しい」と主張。12年度からの開催を目指しているが、周辺住民からは「塾帰りの子どもが心配」「そこまでして本当に効果はあるのか」などの声が上がっている。
 県と尼崎、姫路市でつくる同組合は1980年に設立され、園田、姫路両競馬場を運営している。売り上げは91年度の1187億円をピークに、景気低迷などで年々減少。99年度にも単年度収支が赤字になった。
 県は2006年度、事業のあり方を検討する委員会を設置。委員会は、単年度収支が赤字になった場合、その年度を含む5年間の収支を基本に「事業の存廃を判断すべき」とする報告書をまとめた。
 ここ数年は黒字だったが、10年度は約5億5千万円の赤字。入場数の慢性的な減少に加え、猛暑による客足の鈍りも影響したという。赤字解消が困難と判断されれば、競馬事業は5年以内に廃止される可能性もあるという。
 経営改善のため同組合は12年度から、園田競馬場で金曜の開場を午後9時までとするナイター営業や、阪神尼崎駅前にミニ場外馬券売り場の設置を検討。ナイターは県外の競馬場での実績などを踏まえ、単年度収支で約2億円の黒字を見込む。
 説明会に出席した周辺住民からは「治安面に不安がある。慎重に進めてほしい」といった意見などが出た。ある住民男性は「反対ありきではないが、安心して住める街を維持できるか。ナイターの問題点と対策をきっちり話し合い、住民が納得できる対策をすることが重要だ」と話す。
 競馬事業で計約1500人が雇用されている側面もあり、組合側は事業存続に全力を挙げる方針。ナイター開催に合わせて、最寄り駅からのファン送迎バスの増発や警備員増員などにより、住民に理解を求めるという。(神戸新聞)