2009年12月21日月曜日
崖っぷちホッカイドウ競馬 札幌開催撤退でも厳しい存続「条件」 中編
「札幌撤退」は経費削減の"最後の拠り所"。存続の方策は門別での売上増のみ。
前編で報じたように、239億円の累積赤字を抱えるホッカイドウ競馬は、来年度の単年度収支をゼロにしなければ、廃止を余儀なくされる。
ホッカイドウ競馬は、1992年度から単年度赤字に転落した。バブル崩壊による長引く不況やレジャーの多様化などを要因に、売り上げ減少に歯止めが掛からず、94~01年度までは10~20億円台の単年度赤字が続いた。97年度に門別トレーニングセンターを改装して門別競馬場を開設、98年度から門別開催をスタートさせ、同時に売り上げが低迷していた帯広と岩見沢での開催を撤退した。
累積赤字が100億円を超えた99年度にホッカイドウ競馬の存廃議論が浮上し、道は組織改編やミニ場外馬券場の設置などのコスト削減・発売拡大策を進めてきた。02年度以降は赤字額を縮減させているものの、依然として赤字体質は脱却できず、今年度も含め18年連続で赤字決算となる見込みだ。
道は昨年度で旭川開催を終え、今年度からは開催業務を社団法人「北海道軽種馬振興公社」に委託、経費削減と効率化を図った。さらに発売拡大策として、初期投資や運営経費の負担が少ない民間活用型ミニ場外を道内4カ所に新設した。
経営改善策により、今年度の発売額は札幌・門別開催(計81日間)で、前年比1億5300万円(1.4%)増の115億円4500万円となった。目標額に約2億5000万円(97.9%)足りなかったが、不足分はオフ期間も場外発売所で発売する南関東やばんえい競馬の主催者協力金で賄い、今年度の収支目標(赤字3億円)を達成する見通しだ。
今年度のホッカイドウ競馬は、4~5月に実施された札幌開催(6日間)で、出走馬が集まらずレース数が減少、発売額は計画比11.5%減の7億2100万円にとどまった。
道競馬事業室は「札幌開催に出走馬が集まらなかったのは、主戦を旭川から門別にシフトしたため。例年はオフ期間に門別競馬場をトレセンとして使用しているが、昨年度は門別集約に向けた競馬場の改修工事があり、使用が制限されたため、調教が遅れて札幌開催に間に合わない馬がいた。さらに、これまでは馬産地の門別から札幌、旭川、門別と馬を輸送しながら転戦するのが主流だったが、旭川開催がなくなったことで、門別に照準を合わせて調整する馬が増えた」と説明する。
昨年度の札幌開催(8日間)は1日平均11レースが実施され、1レース平均10頭(計880頭)が出走した。対する今年度は、6日間で1日平均9.2レース、1レース平均9頭(計495頭)と落ち込んだ。1レース当たりの売り上げは前年並みだったものの、計画していた66レースのうち出走馬不足で11レースが組めず、その分の売り上げを失った。
さらなるコスト削減を余儀なくされるホッカイドウ競馬は、来年度、札幌開催から撤退することが確定的だ。今年度限りでの札幌競馬場場外発売の中止も決めており、計2億円の経費削減を見込んでいる。
ただ、経費を2億円を削減できたとしても、来年度の売り上げが今年度並みに終われば、単純計算で1億円の赤字が生じる。今後も大幅に経費を削減できる要素は残っておらず、ホッカイドウ競馬の存続に残された道は、来年度の売り上げアップしかない。以下、後編に続く。(北海道365)
<写真>写真・来年度のホッカイドウ競馬開催中止が濃厚となった札幌競馬場