2009年12月30日水曜日
崖っぷちホッカイドウ競馬 札幌開催撤退でも厳しい存続「条件」 後編
売り上げが今年度並みに終われば、赤字1億円で廃止の公算。
さまざまな経営改善策を講じ、今年度の赤字目標3億円を達成する見込みのホッカイドウ競馬。単年度赤字ゼロが存続の条件となる来年度は、全日程を門別開催(全ナイトレース)に集約し、生き残りを賭ける。
中編で述べたように、今年度の発売総額は前年比1億5300万円(1.4%)増の115億円4500万円。来年度は、札幌開催の休止と札幌競馬場場外発売の中止で計2億円の経費削減を見込めるものの、売り上げが今年度と同様ならば、単純計算で1億円の赤字が生じ、廃止を余儀なくされる。
赤字1億円を解消するために必要となる来年度の売り上げは、どの程度増やさなければならないのかーー。
競馬事業は発売額の75%が払い戻しに充てられ、残り25%が主催者の収入となる。そのため、1億円を穴埋めするためには、4億円の売り上げを要する。
しかし、発売額の25%が収入となるのは主催者直営の馬券売り場での発売のみ。インターネットや電話、南関東競馬の馬券売り場などで発売する場合は、主催者協力金としてマージンを支払うため、収入は25%のうち10~15%にとどまる。
今年度の発売内訳は、道内発売43億6700万円、道外発売19億6700万円、インターネット・電話発売52億1200万円。道外発売とインターネット・電話発売は71億7900万円で、発売総額の約62%を占める。
道の競馬事業室は「道内発売でも全19場外発売所のうち、5つの民活ミニ場外では賃料などを差し引くと収入は10~15%にとどまる。主催者や発売形式によってそれぞれマージンが異なる。現在、来年度の計画を作成中のため、売り上げに占める収入がどの程度になるか、算出していない」と説明する。
ただ、三輪茂北海道軽種馬振興公社理事長(日高町長)は、今月15日に開かれた「北海道地方競馬運営委員会」で「道内、道外、ネットなどの割合をならすと実質17%程度」と収益構造を説明した。
ホッカイドウ競馬が得る収入を売り上げの17%に設定した場合、来年度は5億8800万円の売り上げを増やさなければ、1億円の収益は生まれない。よって、来年度の売り上げは約121億3000万円必要となる。
道は正念場となる来年度に向け、「全国の人に馬券を買ってもらえるようにしたい」(道競馬事業室)として、収入の柱となる道外発売やインターネット発売を伸ばしていく考え。南関東競馬以外の発売やスポーツ紙に掲載する競走情報の増加、インターネット会員募集の広告などの発売拡大策を講じる。
また、門別競馬場や場外発売所でのファンサービスの強化や、旅行会社と提携した観戦ツアーなどを実施することで道内発売を確保するほか、魅力あるレースづくりのため、JRAの条件交流競走や地方競馬の牝馬シリーズへの参加、ハンデキャップ競走の拡充などを図る。
景気が低迷する中、競馬場入場者数や客単価は全国的に減少傾向にある。景気の低迷によって道内発売が今年度よりも落ち込むことが予想される来年度は、どれだけ門別のナイトレースをPRできるかが、存続のカギとなる。(北海道365)
<写真>今年度から全レースがナイターに移行した門別競馬場(写真提供:北海道軽種馬振興公社)