県とさいたま市で構成する一部事務組合「県浦和競馬組合」(管理者・上田清司知事)主催の浦和競馬の累積赤字が2009年度で解消され、県と同市への配分金が10年度に支払われる見通しとなった。配分は1994年度以来16年ぶり。広報活動や経費削減の積み重ねが改善につながったという。ただ、世界的な経済危機の影響などで一日の平均売り上げは前年度から減少、平均入場者数も減らした。同組合は、家族ぐるみで楽しめる場内の環境づくりや周知態勢を強化する方針だ。
浦和競馬の累積赤字は01年度に最大の25億円を記録、同組合は経営立て直しを重要課題としてきた。経費削減に取り組む中で、翌02年度以降の単年度は、04年度を除いて黒字化。07年度末は約9億円の累積赤字だった一方、5億円の単年度黒字を記録した。
08年度末の累積赤字は約3億7千万円だった。
ここ数年はレース数や出走頭数を増やすなど、「魅力ある競走番組」(同組合)を導入。携帯電話やパソコンから馬券を購入できる「電話投票」の販売枠を拡大させるため、関東近県のスポーツ紙に、競走馬のデータを紹介する「馬柱」を掲載してきた。一方で、馬券売り場の従業員数の見直しなど「見えない部分の削減」(同組合)を進めた。
レースが繰り広げられる浦和競馬場(さいたま市浦和区)内では、市町村との連携によるイベントの開催や大道芸人の公演などを実施、家族で来場しても楽しめる環境を築いた。
累積赤字が09年度で解消されるのを受け、同組合は10年度予算に1億5千万円の配分金を計上した。規約に基づいて県に13分の10、さいたま市に13分の3が、それぞれ年度末に配分される見通しだ。前回(94年度)の分配金は1億円だった。
一方、09年度に開催した49日間の総売り上げは326億5100万円。一日の平均売り上げは約6億6600万円で前年度比2・5%減だった。一日当たり平均入場者数も同比97・8%にとどまった。
同競馬場では特別観覧席の内装修繕や場内トイレの全面改修が10年度に行われる。同組合は「広報体制の強化や競走番組の充実を進めたい」と話している。(Web埼玉)