福山競馬の本年度末での廃止を福山市の羽田皓市長が正式表明した26日、市民の間には中国地方唯一の競馬の廃止を残念がる声が上がった。一方、赤字事業の廃止はやむを得ないとして、市の判断を支持する意見も目立った。
「空襲で焼けた街が復興したのは競馬のおかげ」。同市伏見町の自営業市場久雄さん(70)は、学校建設など戦後の復興を支えた福山競馬の歴史を振り返る。1949年の開設以降、総額約400億円を市の一般会計に繰り入れてきた。
福山競馬はアラブ馬の聖地でもあった。地方競馬最多の55勝を上げ今年7月引退したモナクカバキチなどの名馬を輩出。カバキチを応援し続けた同市西桜町の主婦小白良子さん(49)は「懸命に走る馬や支える人たちを間近で応援するのが楽しみだった」と廃止を残念がる。約30年競馬場に通う同市緑町の会社員高橋秀司さん(53)も「福山の文化がまた一つ消えてしまう」と話した。
福山商工会議所の林克士会頭は「競馬関係者の雇用確保に特段の配慮が必要だ。跡地活用を含め、市と連携し今後の対策を検討したい」とコメントした。(中国新聞)