◇札幌で薄暮開催、門別で全日程ナイター…集客図るも
◇ミニ場外馬券発売所、新設は進まず 旭川撤退などで経費圧縮
今年度の道営ホッカイドウ競馬は29日、札幌競馬場で開幕する。道は今年度から運営事業を道軽種馬振興公社(HRA)に委託し、開催地を馬産地の門別競馬場(日高管内日高町)に集約するなど大幅な改革を進めるが、一方で収益の柱となるミニ場外馬券発売所の開設は進んでいない。約240億円の累積赤字を抱える中、正念場の開催が始まる。
今年度は前年度と同じ82日間の日程。旭川開催がなくなり、札幌(4月29日~5月14日)と門別(5月20日~11月19日)の2カ所のみとなる。札幌では5月13、14日に最終レースの発走時刻を午後5時45分とする薄暮開催を予定。門別では全日程でナイターレースを実施し、サラリーマン層の集客を図る。
道が08年3月に策定した北海道競馬改革ビジョンでは、10年度までの単年度収支均衡が達成できない場合は廃止する方針が盛り込まれた。このため、道は業務委託や旭川撤退で経費を圧縮。一方で、馬主に支払う出走手当やレース賞金を増額し、出走頭数の確保とレースの質の向上を狙っている。
また、門別競馬場にスタンドを新設し、特産品の販売コーナーを設けるなどして集客力を高める。HRAの井村勝昭専務理事は「準備は順調。素質のある馬がたくさん出るので応援してほしい」と力を込める。
一方で、収益の柱となるミニ場外馬券発売所の整備は進んでいない。競馬場での馬券販売額は1割程度で、08年度は場外が売り上げの92・6%を占めている。道内のミニ場外は昨年度で11カ所(廃止された留萌を含む)あり、道競馬事業室では、10カ所に加えて開幕までに6カ所で新設する方針だったが、札幌市白石区では近隣住民の合意が得られず計画が頓挫。同中央区(ススキノ)と登別市は開設が決まったが、開設時期は6~8月にずれ込んだ。石狩市は昨年12月に開設できたものの、残る2カ所は住民と協議中で、11月までの開催期間中に新設できるか不透明な状況だ。道競馬事業室は「住民理解を得て整備を進め、少なくとも改革ビジョンの目標を達成できるようにしたい」と話す。
■ことば
◇道営競馬の収益状況
道営競馬は1948(昭和23)年にスタート。これまで約290億円を一般会計に繰り入れ道財政の一助となったが、レジャーの多様化などで92年度以降は赤字続き。昨年度はコスト削減で赤字額を前年の半額の4億2000万円まで圧縮したものの、馬券の発売額は目標の93%の113億9000万円にとどまった。今年度の目標額は117億9000万円で、赤字額は3億円を見込んでいる。(毎日新聞)