笠松競馬(笠松町)を運営する県地方競馬組合は30日、収支均衡策について馬主や調教師ら現場関係者と協議し、賞金・出走手当の削減幅を当初示していた40%から15%に抑えることで大筋で合意した。馬券の売り上げ減少による財政難で存廃が再び議論されていたが、これで当面の存続が決まった。
同競馬は今年度、3億1500万円の単年度赤字を出す恐れがある。収支改善のため組合は今年度残り4カ月の賞金と手当の4割、約1億4600万円を削る案を示したが、関係者が反発していた。
そこで、組合は現在6600万円ある財政調整基金を全額取り崩すのに加え、施設整備の借金返済などのため別に積み立てた基金も一部取り崩し、賞金と手当からの削減額を5400万円にまで抑えることにした。
この合意内容を基に組合は12月、組合の議会に補正予算案を提出する。各賞金・手当の削減幅については今後、馬主や調教師、騎手らが協議し、実際の削減は来年1月から始まる見込み。
組合管理者の広江正明・笠松町長は「競馬を続けるという大義の下、受け入れてもらった。これでファンが安心して、笠松競馬を応援してくれるとありがたい」と話した。
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当面存続が決まった笠松競馬だが、環境は厳しい。11月末時点の1日当たりの売り上げは前年同期比92%の1億1100万円。05~09年度の5年間猶予されていた地方競馬全国協会への交付金支払いも今年度から再開し、今年度の支払額は6000万円と見込まれる。猶予額3億1800万円も13年度から10年間で払わないといけない。組合の最大構成団体の県の担当者は「良いレースを他の競馬場での開催が少ない曜日に開くなど、売り上げ増加のため工夫していきたい」と話している。(毎日新聞)