約20億円の累積赤字を抱えて存廃の岐路に立たされている福山市営競馬について、羽田皓市長は6日の市議会代表質疑で、施設整備などのために設けた基金からの繰り入れで2010年度収支は黒字を確保できるとの見通しを明らかにした。しかし、有識者らの検討委が11年度以降に事業を継続する条件とした、基金繰り入れを除く実質収支での黒字確保には至っておらず、羽田市長は今後の運営方針については明言せず、存廃の結論は年明けに持ち越される見通しとなった。
市は経費削減のために10月、騎手や調教師、馬主らの収入となる賞典奨励費のうち、騎乗手当や調教師奨励費を5〜10%減らすなど合理化を図った。今月11日以降は、一部のレースを除いて1着の賞金を一律3万円減額するなど、賞金、出走奨励費を中心に見直しを行う。節減額は10年度末までに計約3100万円となる。羽田市長は「基金繰り入れが前提となるものの、これらの対策で、単年度収支の均衡が図れると思う」と述べた。
ただ、存続の条件となる実質収支での黒字確保は、厳しい状況が続く。10年度上半期(4〜9月)の赤字額は6448万円に上った。4〜11月の馬券収入は前年度比約5%減で推移しており、11年度予算編成の段階で検討委の示した継続の条件を満たすためには、さらなる経費削減が避けられない。
市は、実質収支での黒字確保のために、どんな対策が必要か、競馬関係者と協議を重ねているという。羽田市長は、競馬の運営方針について「実質収支の黒字確保が客観的に可能か、諸条件を検討、検証して総合的に判断したい」と述べるにとどめた。
市営競馬の調教師や騎手でつくる県調騎会の渡辺貞夫会長は「私たちにも生活があり、削減額に限りはあるが、競馬の存続は関係者の一致した思い。市にも事務的な経費削減などで痛みを分かち合ってもらい、振興策を話し合いたい」と語った。(読売新聞)