2010年1月12日火曜日
地方競馬を支えて<2>騎手候補生たち(1) 寮生活、早朝から厩舎へ 外出は2週間に1度
「おはようございます」。午前9時、訓練馬にまたがった騎手候補生らが元気なあいさつとともに現れた。
昨年4月に入所した89期生は16~19歳の男女8人。卒業までの2年間を同センターの寮で過ごす。1年先輩の88期生は昨年8月から各地方競馬の調教師の下での厩舎実習に出ているため、現在、同センターで訓練に取り組むのは8人のみだ。
入所生の朝は早い。午前5時半に起床し、訓練馬の手入れや厩舎の清掃に取り組む。朝食後、午前中いっぱいは騎乗訓練。午後は英語や一般教養、競馬に関する法規などの授業を受けた後、再び夕方まで厩舎作業に従事する。神奈川県相模原市出身の田中涼君(16)は「時間ごとにてきぱき動かなければならないので、慣れるまでは大変だった」と話す。
騎乗技術だけでなく、騎手につきものの体重制限も厳しい課題の一つ。16歳以下は45キロ以下、17歳以上は46キロ以下を保たなければならない。
食事は煮魚、ビーフシチュー、鶏もつの煮込みなど、朝昼夕3食とも専属栄養士がカロリー計算をしたメニューが並ぶ。体重が気になる入所生は全部は食べなかったり、夕食後にセンター内をランニングするなど自己節制が求められる。丸山真一君(19)=長野県生坂村出身=は「体重制限はあまり苦にならないが、たまに甘いものが欲しくなる」と笑う。
2週間に1回の外出日は入所生の数少ない楽しみの一つ。1人2千円の小遣いが与えられ、自由に買い物ができるが、帰寮時に必ずレシートの提出が求められる。買ったものと金額が合わないと、次回の外出禁止などペナルティーが課される。指導教官の1人は「騎手になったときのため、若いうちから金銭出納の意識を持たせる目的もある」と話す。 (下野新聞)
[写真説明]訓練馬の世話をする89期生