2010年1月16日土曜日
地方競馬を支えて<6>障害馬術大会出場 勝負の厳しさ知る 夢に向かい日々訓練
「こんなはずでは…」。首をかしげながら、馬上の騎手候補生が次々と障害コースを引き上げていった。
昨年11月29日、那須塩原市寺子の「那須トレーニングファーム」で開かれた障害馬術大会に、地方競馬教養センターの89期入所生8人が挑戦した。真剣勝負を肌で感じることを目的に、初めてエントリーした。
出場したのはAクラスジャンプと呼ばれる高さ1メートルの9障害10飛越をこなす競技。アマチュア部門は89期生のほか、乗馬クラブの高校生や社会人ら男女約20人が出場した。
89期生のトップを切って登場したのは川島拓君(18)=福岡県久留米市出身。順調にスタートしたかに思えたが、途中、同一障害で連続して失敗し、失格に終わった。川島君は「焦ってしまった。飛ぶことに必死で」と肩を落とした。
その後も入所生らは失格や障害のバーを落として大きく減点するケースが相次いだ。終わってみると、完走を果たしたのは8人中2人だけ。その2人も上位からは大きく離された成績に終わった。
何とか完走を果たした山崎良君(17)=東京都八王子市出身=は「思い通りに行かず悔しい。内心、優勝を狙っていたが」と唇をかんだ。一方で「悔しさを向上のきっかけにしたい」と力を込めた。
8人の騎乗を注視した清水目稔養成課長は「いい経験になったと思う。普段できることが本番ではなかなかできない、それが分かっただけでも収穫」と笑みを見せた。
1月には日本中央競馬会(JRA)の騎手候補生との対抗戦が千葉県白井市のJRA競馬学校で行われる。清水目課長は「去年の88期生はJRAに勝っている。89期生も今度は舞い上がらないはず」と期待する。
間もなく1年目を終える89期生たち。あこがれの騎手を目指し、試練の日々が続く。(下野新聞)