2010年1月11日月曜日
地方競馬を支えて<1>岐路 売り上げ落ち志願者減 すそ野拡大へ乗馬教室も
長い長いダート(砂)コースを、まだあどけなさも残る馬上の騎手候補生らが列をなして進んでいく。
地方競馬の騎手、厩務員らを養成する那須塩原市接骨木の地方競馬教養センター。約30万平方メートルの広大な敷地に1周1100メートルのダートコースや馬房、騎手候補生らが生活する寮などが点在する。
「かつては100人以上の志願者から定員の15人を選んでいたが今は定員割れ」。同センターの上田毅所長が苦笑する。
地方競馬全体の売り上げはピーク時の1991年度は9862億円あったが、2007年度は4割弱の3804億円まで減少。レースの賞金額も削減され騎手に経済的魅力がなくなったこともあり、同センターの騎手志願者も減少していった。
現在、地方競馬騎手は全国に約350人いる。騎手の稼働年数は平均20年といわれ、年十数人が引退する計算となる。上田所長は「需給バランスを考えれば、年15人の騎手養成は不可欠」と説明する。
入所試験は12種目の運動機能検査と、中学卒業程度の筆記試験。本来ならある程度、資質のある入所生を選ばなければならないが、最近は多少、運動能力に難があっても、採らざるを得ない状況だという。
以前は4、10月の年2回募集だったが、05年度からは4月のみの募集に。130頭いた訓練馬も現在は45頭に減った。
訓練馬が減ったことで余剰馬房が生じた。使われない馬房は劣化するため、対策として06年から地方競馬の調教師への馬房貸付制度をスタートさせた。馬の育成機能強化のため、08年には坂路コースを設置。最近は日本中央競馬会(JRA)所属の競走馬も利用している。
地方競馬愛好者を増やす試みも行われている。年1回開催する女性限定の乗馬教室「レディース乗馬イン那須」は昨年20回目を迎えた。昨年は21人の定員に対し県内外から90人の応募があった。
清水目稔養成課長は「センターの意義はあくまで騎手養成だが、すそ野を広げる取り組みも必要」と強調する。今後は地元の小学生を対象にした乗馬クラブの立ち上げも検討している。
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地方競馬教養センターは1964年に東京都八王子市から現在地に移転し、45年が経過した。次回からは騎手、厩務員を目指す入所生や、後進の指導に力を尽くす指導者らの姿を紹介する。(下野新聞)