広島県福山市の羽田皓市長は18日、存廃が焦点になっている市営競馬事業を2011年度も存続させる方針を固めた。レジャーの多様化や景気低迷で売り上げが減少、約20億円の累積赤字を抱えるなど経営が悪化しているが、競馬関係者の雇用などに配慮し存続を決めたようだ。19日の市議会臨時会で正式に方針を表明するとみられる。
福山競馬は中国地方で唯一残る公営競馬事業。羽田市長は1月6日の定例会見で事業の存廃について「(11年度の)予算編成作業が本格化する今月中には判断したい」と述べていた。
09年度に60周年の節目を迎えた福山競馬は長い間多くの市民やファンに親しまれ、市営住宅や小中学校建設など社会資本の整備にも大きく貢献してきた。ただ、レジャーの多様化などで経営が悪化、累積赤字は約20億円にのぼる。
このままでは市の財政を圧迫しかねないとして、市は10年2月に有識者などで構成する検討委員会を設置して存廃を含めた今後の在り方について話し合ってきた。
同年9月に委員会が提出した「速やかに廃止すべきだが、基金の繰り入れを行わずに実質単年度収支の黒字が確保できれば、11年度以降も継続が考えられる」とする答申に対し、羽田市長の最終判断が注目されていた。
羽田市長は11年度の競馬事業の予算編成を検討。賞金を減らすなどコスト削減を進めることで基金の繰り入れをせずに済むめどが立ったため、存続の方針を固めたとみられる。(日本経済新聞)