約20億円の累積赤字を抱える福山市営競馬について、羽田皓市長は19日の臨時市議会で「実質単年度収支の黒字が確保できる見通しが立った」として、11年度は事業を継続する方針を表明した。一方、新年度の途中に赤字に陥った場合には「廃止も決断せざるを得ない覚悟で臨む」と述べ、年度内で廃止する可能性もあり得るとした。
羽田市長は、継続の理由について「経費縮減策や開催日程の調整などにより、新年度の事業運営は可能と判断した」と説明。主な削減対象とみられる調教師や騎手への賞典奨励費についても、県調騎会をはじめとする競馬関係者と昨秋から協議を重ねた結果、「一応の了解を得た」と述べた。ただし、削減額などについては「新年度の予算編成の具体(的内容)は次回の定例市議会で審議していただく」として言及を控えた。
市営競馬の存廃を巡っては、昨年9月末に検討委員会が「速やかな廃止」を前提とする答申を提出。ただし、基金からの繰り入れを伴わない実質単年度収支の黒字確保などを条件に、事業継続を認めるとしており、羽田市長の判断はこれらの答申に沿った形だ。
だが、10年度に計上された1億7000万円の基金は、来年度は繰り入れが不可能なことから、黒字確保に向けて競馬関係者の負担はさらに増すとみられる。(毎日新聞)