県は24日、岩手競馬の経営問題について考える3回目の検討委員会を開いた。岩手大学の藤井克己学長ら8人の委員に対し、騎手や調教師ら現場関係者たちが現場の窮状を訴えた。
会議には、馬主、騎手、調教師、馬の世話をする厩務(きゅうむ)員らが出席。県厩務員会の工藤裕孝会長はレース賞金の減少で収入が減っていると説明し、「厩務員のリストラが相次ぎ、給料が日割りの日雇い状態の人もいる」と訴えた。
岩手競馬の経営難で厩務員の人員削減が進み、1人が世話をする競走馬の数が多くなっているという。厩務員1人あたり5頭まで世話をすることが認められているが、実際は6頭以上世話をしているケースが多い。その場合、6頭目以降の馬がレースに出場しても、厩務員手当が組合から支払われない。県競馬組合は「現状は分かるが、6頭目以降にも手当を出せば、馬への適正な世話を怠るのを認めることになる」と説明する。
今、岩手競馬の存続条件に「収支均衡」があるため、新たな設備投資が思うようにできない。このことが、売り上げが伸びない一因になっている、との訴えが現場から相次いだ。委員からは「県民を納得させられる投資計画を出して、長期的に岩手競馬を立て直していくことを認めてもらうのも必要ではないか」などの意見が出た。 (朝日新聞)