福山市が2012年度も福山競馬を継続すると発表した20日、騎手や調教師、馬主たち競馬関係者からは安堵(あんど)の声が上がった。長期的な継続の展望が開けないままの事業継続に、市民の意見は賛否が分かれた。
「また続けられる。ひとまずほっとした」周藤直樹騎手(27)は厩舎前で胸をなで下ろした。
広島県調騎会長を務める調教師の徳本慶一さん(54)は「継続は来年度だけで、その先は分からない。1年1年が勝負だ」と、なお残る廃止の可能性に険しい表情を崩さない。
日本中央競馬会(JRA)は10月、約300万人の在宅投票会員が全国の地方競馬のレースで投票できるシステム導入を計画する。国も、馬券の払戻率を主催者の裁量に一定の範囲内で委ねる振興策を検討している。
市民の受け止めは、分かれた。同市港町の松葉麻梨子さん(28)は「競馬ファンだけでなく、家族連れが馬と触れ合えるイベントも増やしてほしい」と期待する。一方、同市横尾町の無職男性(75)は「2013年度以降の継続の見通しがないまま、11年度が黒字になっただけでは、続ける理由にならないのではないか」と疑問を投げ掛けた。(中国新聞)