2010年9月22日水曜日
福山市営競馬「速やかに廃止を」 検討委が答申案
約20億円の累積赤字を抱える福山市営競馬の存廃を議論する市営競馬検討委員会(吉原龍介委員長)は21日夜、市役所で第7回会合を開き、羽田皓(あきら)市長への答申案を決めた。競馬事業を「速やかに廃止すべきだ」とする一方、競馬従事者らの雇用に配慮し、来年度分の賞典奨励費を削減した上で実質単年度黒字が確保できる間は継続を認める内容。29日の会合で正式決定し、提出する。羽田市長が答申を踏まえて存廃を最終決断する。
この日の検討委では、答申案策定部会がまとめた素案について議論。(1)今年度末で事業廃止(2)賞典奨励費の削減による黒字確保を条件に2011年度まで継続し廃止(3)速やかに廃止すべきだが、賞典奨励費の削減で黒字が確保できる間は継続(4)競馬関係者の同意が得られる限り賞典奨励費の削減を続け、黒字が保てる間は継続——の四案について、賛否を述べ合った。
有識者からは(2)案について「黒字なら継続と言いながら、来年度末で廃止というのは分かりにくい」との意見が出された。競馬関係者からも「痛みを伴っても継続して」「際限のない賞典奨励費の削減は不可能」と(1)や(4)の案に反対する声が上がり、(3)案を支持することで一致した。
ただし、賞典奨励費の削減は2011年度当初予算までで、その水準からさらに引き下げが必要な事態になれば、年度途中の廃止もあり得ることが答申案に盛り込まれた。
終了後、会見した吉原委員長は「廃止に向けた答申案だが、継続を求める競馬関係者の声にも配慮した。市には今後、雇用対策などについて真剣な検討を求めたい」と総括。委員の一人で、競馬従事者らでつくる「福山競馬関係団体連合会」の渡辺貞夫会長は取材に対し、「賞典奨励費を下げ続けては現場が持たない。今回の答申案は妥当だと思う」と述べた。
経営不振が続く市営競馬をめぐっては、05年に羽田市長が「単年度収支の均衡」を事業継続の条件とする考えを表明。有識者でつくる福山地方競馬健全化対策推進委員会が08年、馬券の売り上げなどの収入増をめざす振興策を市に提言したが、景気悪化で減収が止まらず、今年2月に市営競馬検討委が設けられた。
検討委は約8カ月かけて、中期的な収支見通しの分析や老朽設備が目立つ競馬場内の視察、騎手や調教師ら競馬関係者からの意見聴取を重ね、答申案の検討を進めてきた。(朝日新聞)