2011年12月31日土曜日
名古屋けいば廃止も検討 愛知県など、13年度に結論
愛知県、同県豊明市、名古屋市でつくる愛知県競馬組合(管理者・大村秀章知事)は、経営不振が続く名古屋けいば(名古屋市港区)に関し、廃止も含め検討する方針を固めた。2012年度に有識者で組織する経営改革委員会(仮称)を設置し、13年度半ばまでに結論を出す。大村知事は年明けにも組合議会に意向を伝えるが、議員らの反発も予想される。
経営改革委は学識経験者や経済人、報道関係者、経営コンサルタントらで構成する。組合議会でも議員らが「あり方検討会」を既に設置しているが、これとは別に第三者の視点で今後の事業運営を議論する。
名古屋けいばは、1949(昭和24)年に事業を開始。ピークの74年度には売り上げが735億円あったが、レジャーの多様化などで入場者数が年々減少。10年度は160億円と、4分の1以下に落ち込んだ。採算ベースでも92年度から04年度まで13年連続して赤字を計上した。
組合では保有する駐車場を売却して施設の改修費にあてるなど節約した結果、05年度以降は黒字に転換。しかし、10年度に再び赤字となり、11年度も東日本大震災の影響による個人消費の落ち込みなどで、2年連続の赤字が予想される。
組合の抱える累積赤字は40億円で、競馬場の耐震化や厩務(きゅうむ)員宿舎の改築費用など今後も支出は増大する見込み。経営環境が一段と厳しさを増す中、大村知事は県を中心に関係する自治体財政の悪化につながりかねないとして、存廃を検討することにした。
名古屋けいばでは競馬組合の職員、調教師、厩務員、馬券販売所や食堂の従業員など、約700人が働く。廃止になれば、雇用問題が発生するのは必至だ。
関係者によると、名古屋競馬場の土地20ヘクタールや建物、弥富トレーニングセンター(愛知県弥富市)の土地77ヘクタールなどは組合の所有で、時価は計400億円ほどとみられる。累積赤字がさらに膨らむ前に清算すれば、関係者に補償費を払っても、自治体からの持ち出しなしに済ませられるとの見方が出ている。(中日新聞)
【写真】廃止も含め検討される名古屋競馬場=名古屋市港区で、本社ヘリ「あさづる」から