中央競馬でミスオンワードなどの名馬が活躍した「オンワード牧場」(浦河町野深)が売却されることが31日分かった。後継者がいないためで、所有する繁殖・育成馬は既にほかの牧場に売却し、牧場自体も2月末に別の牧場へ売り渡す予定だ。
同牧場は、ミスオンワードが1957年の桜花賞などで優勝したことを機に、衣料メーカー「オンワード樫山」創業者の故・樫山純三氏が60年に開いた。
1月27日には長女樫山章子さん(84)(兵庫県西宮市)らが現地を訪れ、かつての従業員とお別れの会を開いた。章子さんは後継者難が撤退の理由とした上で、「日本の競馬界も以前の勢いがなくなった。父と牧場によく足を運んだだけに撤退は残念だ」と語った。
一方、牝馬(ひんば)として戦後初めて日本ダービーを制した名馬ウオッカを生んだ「カントリー牧場」(新ひだか町静内豊畑)も牧場売却の手続きを進めている。
63年創業の同牧場は、ウオッカのほか、2002年のダービー馬タニノギムレットなども生産した。町農業委員会に牧場の所有権移譲の申請を行い、1月26日に許可された。2月9日に谷水雄三代表が滋賀県栗東市で記者会見を開き、詳細を明らかにするという。
2牧場の売却準備を受け、日高軽種馬農協の川越敏示(さとし)参事(54)は「ともに歴史があり、日高を代表する牧場。競馬界全体の盛り上がりを考えても、2牧場の名前がなくなるのはとても残念」と話していた。(読売新聞)