2012年2月11日土曜日

“アラ還馬”301戦目


 高知競馬(高知市)所属のセニョールベスト(牡(おす)、13歳)が11日夜、国内最多出走記録となる301戦目のレースに出場する。人間なら還暦にあたり、引退してもおかしくない年齢だが、若い馬に負けない走りでファンをわかす。宗石大調教師(61)も「鉄の馬」と驚く丈夫さで、〈前“馬”未踏〉の道を走り抜く。

 セニョールベストが高知競馬に来たのは2003年。浦和(埼玉県)で01年にデビューして以来、船橋(千葉県)、名古屋を走ってきたが、計24戦で4勝しか挙げていなかった。

 負けても走り続け、人気を集めたハルウララを担当した宗石調教師が世話をするようになった08年以降、年間30レース以上をこなし、10年は46レースとほぼ毎週出走。今月3日には、同競馬のダイナブロス(引退)が09年12月に樹立した最多記録300戦に並んだ。

 高知での勝ち星は27。エンジンのかかりが遅いので追走に苦労するといい、昨年5月14日を最後に連敗が続いている。それでも、スピードはあり、レース途中でペースを落としてスタミナを温存するのは苦手なので、「砂をかぶらない外枠で先行できれば勝てる」と分析する。

 同じ“アラ還(アラウンド還暦)”の宗石調教師。自身も騎手時代には26年間で1万レースを走っており、「セニョールベストはとにかく足が丈夫。こっちが元気をもらっていて、感謝の気持ちでいっぱい」と相棒をたたえる。

 記録更新がかかった1戦は午後6時40分にスタート。「若い馬にも負けない走りでファンを喜ばせたい」と誓う。(読売新聞)
【写真】国内最多出走記録更新に臨むセニョールベストと宗石調教師(高知市の高知競馬場きゅう舎で)