◇和解すすむ
県地方競馬組合が運営する「笠松競馬場」(笠松町)の一部地主が競馬用地の明け渡しを求めた訴訟が和解へと進み始めたが、双方が合意した賃料は年間約3670万円の負担増を招き、同競馬場の経営を圧迫しそうだ。ほかにも借金返済などが加わり、年2億円以上の支出増が見込まれる。07年度は黒字が約1億5800万円しかなく、このままでは一気に赤字転落。県は公費は投入しないとしており、和解が経営悪化を招いて競馬場廃止につながりかねないという苦しい状態が続く。
名古屋高裁での控訴審の和解協議で、組合側が示している賃料は、1坪当たり年1200円だ。県笠松競馬場支援室は、約3670万円多い約9800万円の賃料になると試算している。
一方で、経営悪化を理由に5年間払っていなかった地方競馬全国協会(東京都)への納付金支払いが10年度に始まる。納付金は年約7000万円で、さらに滞納分(約3億2000万円)を10年間で分割払いしなければならない。場外施設建設による借金約4億3000万円の返済も今年度から始まった。
こうしたことから、10年度から10年間は、年2億円以上の支出増になる見通しだ。競馬場の経営が黒字化した05年度以降は赤字を免れてきたが、昨秋以降は入場者数や1人当たりの購入額が減少、収入が減る見込みだ。
基金が約5億2000万円あるが、赤字が続けば長くはもたない。県は「当面は余裕のないぎりぎりの経営を迫られる。大きな新規投資ができない中で、いかに経営改善を図っていくかが課題だ」と話している。(毎日新聞)