福山市は新年度、同市を代表する景勝地、鞆の浦が、幕末の志士・坂本龍馬のゆかりの地であることを生かした観光キャンペーンを始める。2010年放映予定のNHK大河ドラマ「龍馬伝」とのタイアップや、龍馬にちなんだ競馬レースの開催などを計画。最近は、埋め立て・架橋事業を巡る景観論争が注目されている鞆の浦だが、羽田皓市長は「龍馬ゆかりの地としての歴史も全国の人に知ってほしい」と期待している。
鞆の浦は、1867年に龍馬率いる海援隊の「いろは丸」と紀州藩の軍艦が衝突した「いろは丸事件」の舞台とされ、龍馬が泊まったとされる廻船(かいせん)問屋「桝(ます)屋」などが今も残されている。ただ、従来の龍馬を扱ったドラマなどにはあまり登場してこなかった。
このため、市は龍馬伝をPRの好機ととらえ、大河ドラマと連携したパネル展や、鞆へのロケ誘致をNHKに打診。龍馬と鞆の関係を紹介するホームページも10月頃に開設する。市営競馬場では、龍馬の故郷、高知市にある高知競馬と連携し、「龍馬」を冠に据えた交流レースも行う。
また、鞆の本土側と仙酔島を結ぶ市営渡船の客船更新に合わせ、「いろは丸」に似せたデザインの船を新造する。船の事業費は8000万円で、関連の補正予算案を3月議会に提案する。(読売新聞)