2009年11月28日土曜日

浦和競馬  赤字解消 ゴール目前

■清掃、警備自前で/大井、川崎などと連携

 累積赤字が10年以上続いた「浦和競馬」(さいたま市南区)が今年度末に、赤字を解消できる見込みとなった。2001年度に過去最多の25億円を記録した後、経費節減や他競馬場との販売提携強化などで経営改善を図り、08年度末で3億7300万円まで縮小。今年度は4億円超の単年度黒字を確保できる見通しとなった。地方競馬の多くが経営難に陥る中、ファンを拡大できる「エンターテインメント施設」への脱皮を図る。

■魅力作りが課題

 浦和競馬は戦後間もない1947年設立。大井競馬(東京)、川崎競馬(神奈川)、船橋競馬(千葉)とともに、南関東四競馬と称され、77年度からは、県やさいたま市でつくる県浦和競馬組合が運営してきた。
 地方競馬全国協会などによると、バブル景気の崩壊後、地方競馬は急激に売り上げが落ち込み、88年度に26か所あった競馬場は、07年度までに10か所が閉鎖され、残った16か所のうち5か所は単年度赤字に陥った。
 浦和競馬も苦しい経営が続いてきた。92年度末時点には22億円の積立金があったが、徐々に目減りし、98年度から累積赤字に。01年度には13億3400万円もの単年度赤字を計上する事態となり、累積赤字は25億1800万円にまで拡大。県の主導による経営再建がスタートした。
 手始めに、外注してきた清掃や警備などの業務を職員が行い、3億5000万円超の経費を節減。さらに、南関東四競馬が連携、開催日のバッティングをなくして、馬券の相互販売も強化した。インターネット販売も導入するなどしたところ、売り上げは回復し、05年度以降は4年連続で単年度黒字を達成した。08年度からは、老朽化した観戦スタンドの建て替え工事に、計4億5000万円の事業費を投入する余裕も生まれた。
 今年度は長引く景気低迷で馬券の販売減が懸念されたが、4~9月期の1営業日あたり売上金は、前年同期比2・4%減の6億8200万円で推移しており、通年の売り上げは前年の341億円を数%下回る程度で踏みとどまれそう。利益は4億円以上が見込め、累積赤字からの脱出が現実味を帯びてきた。
 ただ、これまでの業績回復は、協力関係にある大井、川崎両競馬場の集客力に頼ってきた面が多く、浦和競馬場独自の魅力作りが今後の大きなポイントになる。
 組合では、場内清掃の徹底、周辺の花卉(かき)植栽、場内飲食店のメニュー見直しなど、目に見える場所から改善。地元のファンにも好評で、子ども連れでよく来るという30歳代の男性も「古い建物だけど、トイレなどの掃除をきちんとやるようになった気がする」と話した。
 レース開催日の場内で大道芸イベントを行う試みも始めており、組合では「ファミリー層も楽しめるエンターテインメント施設を目指す」としている。(読売新聞)