2010年3月14日日曜日

競馬低迷、京都市財政に打撃 JRAからの「交付金」ピーク時の6割


 近年の競馬人気の低迷が、京都市財政に影響を与えている。日本中央競馬会(JRA)が売り上げの一部を競馬場所在地の自治体に寄付する「環境整備交付金」が、本年度の京都市は約7億円にとどまり、ピーク時の6割に落ち込んだ。ここ10年で最低額で、市担当者も「ギャンブルを推奨するわけにもいかないし…」と困り顔だ。

 環境整備交付金は、競馬場周辺の交通渋滞に悩む自治体の要望に沿って1972年度から始まった。全国10カ所の競馬場、約40カ所の場外馬券場(ウインズ)のある自治体に、JRAが「寄付金」として交付。自治体は競馬場、場外馬券場の周辺の道路などインフラ整備に充てている。

 しかし、競馬ブームで過去最高の売り上げとなった97年(4兆円)以降、JRAの収入が減り、2009年は2・5兆円に。自治体への交付金総額も99年度の85億円から09年度は67億円、10年度は64億円になる見込み。

 交付金は各地の競馬場、場外馬券場の入場者数などに応じて自治体に配分されるが、京都市伏見区の京都競馬場の入場者数は97年の230万人から09年は120万人に半減し、交付金も最高の98年度の10億8千万円から09年度は6億9千万円にまで減った。

 ■JRA「減額やむを得ない」

 市は毎年、当初予算に10億円の寄付を見込んで計上し、京阪淀駅前の広場や道路整備などの財源に充ててきたが、ここ数年は2億円程度が不足している。一般財源からの穴埋めを余儀なくされ、新年度予算案では寄付見込みを7億円に下げた。市は「住民への配慮もあり、競馬場周辺の必要事業は減らせない」としており、苦しい市財政に収入減が大きく響いている。

 交付金をめぐっては制度導入時に自治体が地方税としての徴収を求めたが、JRAの反対で寄付金となった。京都市は「善意の寄付金ではなく税金に近い。一方的な減額は納得できない」とJRAに増額を求めているが、JRAは「こちらも経営は苦しく、減額はやむを得ない。交付金の必要性は感じており、確保できるよう努力する」と説明している。