過去の事業仕分け結果を検証する「再仕分け」の最終日では競輪、競馬など公営ギャンブル関連事業で関連団体への天下りの「全廃」を求める厳しい判定が下された。政権交代から1年余りが経過し、今回の仕分けでは政務三役が自らの府省の「省益」を守るため仕分け人に猛然と反発する場面が目立った。しかし、公営ギャンブルによる巨額の収益を天下り法人が牛耳る利権構造には仕分け人も追及の姿勢を示した。
対象となったのは、農林水産省所管の日本中央競馬会(JRA)と、競輪、競艇関係の補助事業を扱う経済産業省所管のJKA、国土交通省所管の日本船舶振興会。所管府省出身の役員がいるこの3団体から、さらにOBが天下っている別の関連団体にギャンブルの収益を原資とした補助金が流れる構造が「役所の財布」と批判され、過去の仕分けなどで改善を求められていた。
いずれの団体も役員削減など改善策を実施したが、JRAの場合は役員14人のうち4人が依然として農水省OB。また、今年度に助成した10団体のうち9団体にOBがいるため、仕分け人から「不十分」の声が上がった。
さらに、仕分け人はJRAの補助事業である映像番組の制作を請け負った団体が破産宣告を受けていたことも指摘した。昨年から始まった事業仕分けには存在意義を問う声も出ているが、最終日で役所の天下り構造を厳しく批判し、一応の面目は保った格好だ。(時事通信)