2012年6月22日金曜日

笠松競馬、法改正で収入増の好機


 20日に成立した改正競馬法では、払戻率の引き下げが競馬場の裁量で可能になり、厳しい経営が続く笠松競馬(笠松町)の収入増につながる可能性がある。しかし安易な引き下げは、ファン離れのきっかけにもなりかねない。

 現行の馬券払戻率は、勝ち馬への投票金額などをもとに計算式で出され、ほぼ75%前後。改正法では70~80%を目安に、単勝や3連単など投票方法ごとに、各競馬場が決めることができる。
 笠松競馬の二〇一一年度の売り上げは百九億円。単純に払戻率を1%引き下げれば、約一億円の収入増の計算になる。県は、債務超過になれば廃止にする方針で、一一年度にぎりぎりで黒字を達成した笠松競馬にとって、法改正は存続への後押しとなる。
 笠松競馬を運営する県地方競馬組合管理者の広江正明・笠松町長は「存続に向けた基盤が整ったことに感謝したい」と歓迎する。
 しかし、払戻率の引き下げはギャンブルの魅力低下につながる。オートレースは今月から払戻率を5%引き下げる一方、競輪と競艇は様子見。笠松競馬は今後、ほかの競馬場と情報交換をしながら、ほかのギャンブルと比べて見劣りしないように払戻率を決めていく難しい作業に入る。
 ファンに近い立場の笠松競馬予想師、一岡浩司さん(50)は「ほかのギャンブル、競馬場と差がつけば客がそちらに流れる。ファンが喜ぶわけがない」と批判する。
 消費増税が決まれば数千万円の経費増にもなり、今後も厳しい経営が続くことは変わらなさそうだ。広江町長は「払戻率の変更と合わせて、競馬の魅力向上策も考えたい。存続のため、ファンに理解してもらえるよう努めたい」と話した。(中日新聞)