2010年9月30日木曜日

「速やかな廃止を」/福山競馬


 福山市営競馬の存廃を議論してきた市営競馬検討委員会(吉原龍介委員長)は29日、競馬事業の「速やかな廃止」を求める一方、実質単年度黒字が確保できる間は継続を認める答申を決め、市役所で羽田皓(あきら)市長に提出した。羽田市長は「答申を尊重し、今年度の収支状況も踏まえて総合判断する」と述べた。

 答申では、市財政に寄与するだけの収益確保が1998年度以降困難になっている現状や、約20億円の累積赤字などを理由に「速やかな廃止」を主張。一方で競馬関係者の雇用に配慮し、条件つきで事業継続も容認した。継続の場合、来年度の賞典奨励費を削減し、売り上げ増加策にも取り組むよう提言している。

 検討委終了後、羽田市長は報道陣に対し、存廃の判断時期について「来年度の予算編成などの時期も考え、検討する」と述べた。(朝日新聞)
【写真】羽田皓市長(左)に答申を渡す吉原龍介委員長=福山市役所

福山市営競馬「廃止」を答申

 福山市営競馬(福山市千代田町)の存廃を議論する有識者の検討委員会(委員長=吉原龍介・前福山大副学長、14人)は29日、「速やかに廃止すべき」を基本とする答申を羽田皓市長に提出した。答申では実質単年度収支の黒字確保という条件付きで事業継続も認めているが、収支の抜本的な改善が見込めない状況で、競馬関係者に厳しい課題を突き付ける内容となっている。羽田市長は、2011年度の予算編成までに一定の判断を下す意向を示した。

 検討委は2月に設置され、この日で8回目。騎手や調教師ら33人が傍聴する中、出席した12人の委員は、前回の委員会でまとめた答申案を了承した。

 終了後、吉原委員長が羽田市長に答申書を手渡し、「速やかな廃止が本旨。継続も盛り込んでいるが、厳しい条件を付けている」と説明。羽田市長は「(現在は)実質単年度収支の黒字確保が出来ていない厳しい状況。今後の方向性は、答申の内容を尊重しながら、今年度の収支なども踏まえて総合的に検討したい」と応じた。(読売新聞)

 羽田市長は取材に対し、「継続となれば、来年度予算にかかわる。しかるべき時期に(方向性は)考えていく」と述べた。

 検討委の委員を務めた県馬主会の八木徹会長は「廃止が前提とはいえ、当面は継続できる方向で答申を提出できたことを評価したい。単年度収支の黒字化を実現する具体策を現場でも考えるので、市も協力してほしい」と求めた。

2010年9月28日火曜日

川崎競馬組合が横浜に場外馬券場を12月オープン

川崎競馬組合は27日、横浜市中区桜木町の「桜木町ゴールデンセンター」(ぴおシティ)7階に場外発売所「ジョイホース横浜」を設置し、12月13日にオープンする、と発表した。発売日数は年間270日程度で、南関東4競馬場(川崎、浦和、船橋、大井)の全レースのほか、全国の地方競馬で開催される一部のレースも発売する。

 同組合によると、地方競馬の場外馬券場は県内唯一。利便性を高め、横浜などの勤め人にも仕事帰りに気軽に楽しんでもらおうという狙い。同組合の2008年度の売上総額は約493億円で、売上高の向上も図っていく。

 施設の面積は約950平方メートルで、収容人員は約900人。自動発売機10窓、有人払戻機2窓などを備える。映像設備は52型モニター5台、40型モニター36台。会員制(入会金1千円、年会費1千円)で運営していく。会員の申し込みや問い合わせは、フリーダイヤル電話0120(846)089。(神奈川新聞)

赤字の金沢競馬 改善計画を検証

 金沢競馬(金沢市八田町)の経営状況を検証するため、有識者による経営評価委員会が27日、県庁で開かれた。

 県営、市営を含む金沢競馬は、入場者数の減少などで慢性的に赤字が続き、2007年3月に経営改善計画を策定。インターネットによる馬券販売、職員削減や業務の外部委託など、3カ年での黒字達成を目指していた。初年度、次年度は黒字となったが、09年度は両開催分を合わせて約6500万円の赤字で、今年上半期の県営収支も約3千万円の赤字となった。

 経営評価委は3カ年計画の検証をし、今後数回の会合を重ねながら金沢競馬の開催のあり方について県と市に提言する方針。(朝日新聞)

2010年9月27日月曜日

福山競馬継続に向け報告会


 騎手や調教師、馬主などの8団体でつくる福山競馬関係団体連合会は26日、福山市千代田町の広島県馬主会館で、競馬事業の継続に向けた報告会を開いた。福山市営競馬検討委が事業の条件付きの継続を認める答申をまとめたことを受け、今後の振興策や経費節減について意見を交わした。

 約50人が参加した。県馬主会の八木徹会長が、競馬関係者の事実上の給与に当たる賞典奨励費を削減して競馬事業を継続し、黒字確保が見通せなくなった時点で速やかに廃止する—との答申を説明した。

 出席者からは「調教師が馬主に働きかけて魅力ある馬を招く努力が必要」と集客アップに向けた提案が出る一方、「主催者の市もコスト削減に取り組むべきだ」と答申にくぎを刺す意見も出た。

 検討委は29日、羽田皓市長に答申する。連合会は、市が来年度の事業継続を決めた場合、コスト節減の方法や事業の振興策について、市に要望書を提出することを決めた。

 渡辺貞夫会長は「来年度の存続の決定が第一。その後、各団体から黒字確保に向けた具体策を募り、市に提案したい」と話している。(中国新聞)

【写真説明】県馬主会の八木会長(右端)から答申の説明を聞く参加者

2010年9月25日土曜日

荒尾競馬、見に来て 「サポータークラブ」発足


 荒尾競馬組合は、競馬を身近に感じてもらい、競馬場に足を運んでもらおうと「荒尾競馬サポータークラブ」を発足させた。会員になると騎手との交流会参加や、無料入場クーポン配布などの特典がある。
 累積赤字約14億円を抱える同競馬。開催日の入場者数も昨年度の1100~1200人から1~2割減少していることから、来場者増と売り上げ増を目指す。携帯電話でメール登録すると、開催日程や場内のイベント情報などが定期的に届く仕組み。
 受け付け開始の23日には、阿蘇あか牛ステーキ肉などが当たる抽選会があった。競馬場に来てもらうよう商品引き換えは競馬場で行い、午後3時以降に場内にいる人は再度抽選できるなど滞留への工夫も。同組合は「競馬場で生のレースを見てもらうことで、地元ファン拡大につなげたい」と話す。(熊本日日新聞)
【写真】馬券売り場に張られた、サポーター会員を募集するポスター=荒尾競馬場

「笠松競馬の負担軽減を」 古田知事が農相に要請

 古田肇知事は24日、農林水産省に鹿野道彦農相を訪ね、笠松競馬(羽島郡笠松町)を運営する県地方競馬組合が加盟する地方競馬全国協会に対し、馬券売り上げの一定割合を納めることが義務付けられている交付金について、経営難であることに配慮して負担を軽減するよう要請した。
 同組合は競馬法に基づき、収支が赤字か否かにかかわらず、畜産振興の原資として同協会に馬券発売額の0・55%を納めなければならない。2009(平成21)年度までの5年間は特例で計約3億2千万円の納付が猶予されたが、本年度から再び納付が始まり、単年度分だけで6千万円を見込む。支払いを先送りした猶予分も13年度から10年間で上乗せして納める必要があるため、さらなる経営圧迫が見込まれている。
 古田知事は面談後、交付金軽減には法改正が要るとの認識を示した上で、「生き延びる上でもう一段、特段の配慮がいただけないか」などと支援を求めたことを明らかにした。鹿野氏は制度論には踏み込まなかったものの「笠松競馬が地域にとっていかに大事な存在かはよく分かった」と理解は示し、担当部局に橋渡しする考えを示したという。
 古田知事は、組合としても最大限のコストカットに取り組む決意も付言した。
 同組合は8月までの開催実績に基づく本年度収支は1億1700万円の赤字と見込んでいる。(岐阜新聞)

笠松競馬、売り上げ若干持ち直す

 厳しい経営が続く笠松競馬(笠松町)の9月末時点の売り上げが、前年度同期比3・4%減の54億100万円(速報値)であることが分かった。1日当たりの売り上げは7・5%減で、危機的状況が示された8月末までの8・9%減から若干の回復を見せた。
 古田肇知事は9月末までの収支結果をみて存廃を議論する方針を明らかにしている。笠松競馬を運営する県地方競馬組合は、他の競馬場の馬券販売手数料なども加味し、11月にも経営方針のシミュレーションを示す。
 同組合によると、第9回開催(9月6~10日)の1日当たりの売り上げは1・7%増と初めて前年度を上回った。第10回(9月21~24日)は1・7%減だったが、夏場の第6回(7月6~9日)と第7回(7月19~23日)がそれぞれ11・1%減、20・5%減だったのに比べると、急落傾向に歯止めがかかっている。
 朝倉芳夫管理者代行は「経営が厳しいことを知ったファンの支援や、猛暑が過ぎて競馬ファンが戻りつつあるのかもしれない」と推測。「売り上げ増への特効薬がなく、依然、厳しい状況は変わらない。経費削減と組み合わせて黒字を目指したい」と話している。
 同組合は今月6日の協議会で、このままの状況が続くと年間売り上げが109億円と、1970年以降で最低になる見通しを示した。古田知事は会見であらためて税金投入を否定した。(中日新聞)

2010年9月23日木曜日

条件付き競馬継続に賛否の声


 福山市営競馬検討委は福山競馬の条件付き継続を認める答申をまとめ、来年度は事業実施となる公算が大きくなった。利用者増などの改善策は見いだせないまま、競馬場従事者の給与に当たる賞典奨励費を削る延命策に、賛否さまざまな声が上がっている。

 答申は、賞典奨励費を削減して事業を継続し、黒字確保が見通せなくなったら年度途中でも速やかに廃止すべきだ—との内容だ。

 広島県調騎会の渡辺貞夫会長は継続の道を残した答申を評価する一方、賞典奨励費の減額幅の拡大を懸念する。26日に従事者団体の会合を開き、振興策を考える。渡辺会長は「市にも経費節減の具体策を求めたい」と話す。

 県馬主会は先行きの見えない現状に、新馬の購入を控え、答申を受ける羽田皓市長の判断を見守っている。八木徹会長は「継続するなら、事業主としての手腕がこれまで以上に求められる」とみる。

 従事者の間には、収入減を心配する声が目立つ。調教師男性(64)は「これ以上賞典奨励費が減れば、生活が立ち行かなくなる」と訴える。(中国新聞)

【写真説明】条件付きで事業継続する見通しとなった福山競馬

「速やかに廃止」求める 福山競馬で答申案まとめ 広島

 ■「収支確保」条件に事業継続 

 約20億円の累積赤字を抱える福山市営競馬について、同市競馬検討委員会(吉原龍介委員長)は21日夜の会合で、「速やかに廃止」としたものの、実質単年度収支が確保できる間は「事業継続」との答申案をまとめた。29日に羽田皓市長に答申される予定。

 終了後の会見で、吉原委員長は「現状のままだと、2〜3年後には廃止される」との厳しい見通しを表明。廃止される場合は関係者の生活補償や雇用問題について、時間をかけて対応策を検討するよう求めた。

 会合では、答申案の策定部会で出された4案について協議。この結果、「できるだけ速やかに廃止」だが、「実質単年度収支の確保」を最低条件に、来年度以降も事業継続を容認する案に賛成が集まった。

 事業継続を望む競馬関係者の意向を反映したものだが、収支確保のために、賞金や手当など「賞典奨励費」の削減が条件となっている。このため、来年度以降、継続されても関係者に厳しい状況は続く。

 市は多額の赤字を抱える同競馬の存廃を審議するため、今年2月に同検討委を設置。7回にわたって会合を開き、基金を繰り入れなくても収支が赤字とならない「実質単年度収支の均衡」を事業継続の基本方針として論議を重ねた。

 しかし、今年度第1四半期(4〜6月)でも実質3千万円超の赤字を計上。「廃止」をベースとする議論の流れの中で、存続を訴える関係者に一定の配慮を示した結論となった。(産経ニュース)

2010年9月22日水曜日

福山市営競馬「速やかに廃止を」 検討委が答申案


 約20億円の累積赤字を抱える福山市営競馬の存廃を議論する市営競馬検討委員会(吉原龍介委員長)は21日夜、市役所で第7回会合を開き、羽田皓(あきら)市長への答申案を決めた。競馬事業を「速やかに廃止すべきだ」とする一方、競馬従事者らの雇用に配慮し、来年度分の賞典奨励費を削減した上で実質単年度黒字が確保できる間は継続を認める内容。29日の会合で正式決定し、提出する。羽田市長が答申を踏まえて存廃を最終決断する。

 この日の検討委では、答申案策定部会がまとめた素案について議論。(1)今年度末で事業廃止(2)賞典奨励費の削減による黒字確保を条件に2011年度まで継続し廃止(3)速やかに廃止すべきだが、賞典奨励費の削減で黒字が確保できる間は継続(4)競馬関係者の同意が得られる限り賞典奨励費の削減を続け、黒字が保てる間は継続——の四案について、賛否を述べ合った。

 有識者からは(2)案について「黒字なら継続と言いながら、来年度末で廃止というのは分かりにくい」との意見が出された。競馬関係者からも「痛みを伴っても継続して」「際限のない賞典奨励費の削減は不可能」と(1)や(4)の案に反対する声が上がり、(3)案を支持することで一致した。

 ただし、賞典奨励費の削減は2011年度当初予算までで、その水準からさらに引き下げが必要な事態になれば、年度途中の廃止もあり得ることが答申案に盛り込まれた。

 終了後、会見した吉原委員長は「廃止に向けた答申案だが、継続を求める競馬関係者の声にも配慮した。市には今後、雇用対策などについて真剣な検討を求めたい」と総括。委員の一人で、競馬従事者らでつくる「福山競馬関係団体連合会」の渡辺貞夫会長は取材に対し、「賞典奨励費を下げ続けては現場が持たない。今回の答申案は妥当だと思う」と述べた。

 経営不振が続く市営競馬をめぐっては、05年に羽田市長が「単年度収支の均衡」を事業継続の条件とする考えを表明。有識者でつくる福山地方競馬健全化対策推進委員会が08年、馬券の売り上げなどの収入増をめざす振興策を市に提言したが、景気悪化で減収が止まらず、今年2月に市営競馬検討委が設けられた。

 検討委は約8カ月かけて、中期的な収支見通しの分析や老朽設備が目立つ競馬場内の視察、騎手や調教師ら競馬関係者からの意見聴取を重ね、答申案の検討を進めてきた。(朝日新聞)

福山競馬を条件付き継続へ

 福山市営競馬検討委(吉原龍介委員長、14人)は21日、福山競馬の存廃について、騎手や調教師たち関係者への事実上の給与に当たる賞典奨励費を削減して事業を継続し、黒字確保が見通せなくなった時点で速やかに廃止する—との答申をまとめた。関係者が収入減を覚悟で事業継続を訴えた点を重視し、条件付きで事業継続を認めた。

 答申では、市が本年度競馬事業特別会計に9億2200万円を盛り込んだ賞典奨励費について、来年度は一定額を削減して赤字を補てんするよう条件を付けた。それでも、赤字が補てんしきれない見通しとなった段階で、年度途中でも速やかに廃止する—とした。

 検討委は同日夜、市役所で会合を開いた。採用した案と、「本年度末に廃止」など3案の計4案を一本化する方針で協議。これまでの会合で、関係者から「収入を減らしてでも続ける覚悟はある」などといった要望があったことを踏まえて決めた。

 29日に羽田皓市長に答申する。吉原委員長は「関係者の要望に配慮した。現場にはいっそうの努力を、市には将来の廃止を視野に入れた準備をそれぞれ求めたい」と述べた。(中国新聞)

2010年9月18日土曜日

福山競馬、4案一本化答申へ

 福山競馬の存廃を議論する福山市営競馬検討委(吉原龍介委員長)の最終会合が21日、市役所である。8月下旬の答申案策定部会で決めた4案を一本化する方向で協議し、今月末までに羽田皓市長に答申する。

 4案は、(1)2010年度末に廃止(2)競馬関係者への賞金や手当(賞典奨励費)を削減し、11年度に限り継続(3)賞典奨励費をいったん削減し、黒字確保のためにさらなる削減が必要となったら廃止(4)賞典奨励費の削減により赤字を相殺し続けられる限り継続—との内容。

 最終会合では、競馬事業の業績見通しや競馬関係者からの聞き取り結果などを踏まえて議論する。吉原委員長は答申について「存廃の両論併記はしない」と明言しており、最終会合では1案に絞り込むとみられる。(中国新聞)

2010年9月17日金曜日

8400万円のコスト調整了承 県競馬組合運営協

 県競馬組合運営協議会は14日、盛岡市内で開かれ、県競馬組合(管理者・達増知事)が提案した8400万円のコスト調整を盛り込んだ年間収支計画の見直し案を了承した。計画見直しは今季2度目。1着賞金と出走手当の一律カットにも踏み込み、存続条件の「収支均衡」を図る厳しい経営が続いている。

 第2期まで(4月3日〜8月16日)の累計発売額は計画比1・4%減の93億4100万円。これを基に総利益の見通しを試算した結果、年間の収支不足額は8400万円となった。

 計画見直しでは、発売日数やレース数の追加で3千万円を確保。1着賞金(10%程度削減)と出走手当(出走ごと1〜2千円削減)の一律カットで2700万円を工面する。

 そのほかのコスト削減は▽投票従事員の配置見直し1100万円▽光熱水費など販売・管理費800万円▽ファン優待バス一部廃止など営業販売費700万円−など。見直し後の収支計画は発売額191億6千万円(第1期見直し計画比2億9700万円減)、事業運営費34億5400万円(同2700万円減)。

 運営協議会では「賞典費削減で馬主離れが心配される。売り上げを増やすために手を尽くしてほしい」などの意見が出た。

 同組合の高前田寿幸副管理者は「厳しい経営状況だが、最近のレースの発売額は好調傾向にある。今後も関係者の理解を得ながら岩手競馬を存続させたい」と話す。(岩手日報)

2010年9月12日日曜日

「見えない障害」理解求め 岬町出身の元騎手・常石勝義さん講演


 6年前のレース中に落馬し、高次脳機能障害を負った日本中央競馬会(JRA)の元騎手で、岬町出身の常石勝義さん(33)(滋賀県草津市)が、障害への理解を深めてもらおうと、各地で講演活動を続けている。今月3日には、生まれ故郷の同町に招待され、200人を前に「症状がわかりにくいので『見えない障害』と言われるが、ちょっと変だなと感じたら、脳に届く言葉で声をかけて」と呼びかけた。(渡辺彩香)

 常石さんは少し足を引きずりながらも自信にあふれた表情で登壇。障害G1レースで優勝した時と同じピンク色の勝負服を身につけていた。しかし、一つ足りないものがあった。横から母・由美子さん(60)が説明した。「晴れ姿なので決めたつもりが、肝心のブーツを忘れてきました。これでは馬に乗れません。一番大事なものを忘れる。これが今の彼なんです」

 常石さんは同町立岬中を卒業後、1996年に18歳で騎手デビュー。G1レースでレコードタイムを記録するなど活躍したが、2004年、小倉競馬場のレースで落馬。一命はとりとめたものの、左半身まひと、高次脳機能障害が残り、07年引退した。

 この日の講演会は、4月に発足した町人権協会が、記念イベントとして開催。同町は常石さんにとっても15年間を過ごした思い出の場所。会場には、教育・福祉関係者のほか、幼稚園や小中学校時代の恩師も駆けつけた。



 常石さんは語り出した。「馬の上はジェットコースターに乗ったみたい。馬との出会いは僕の宝物です」。その『宝物』から落ちた事故。高次脳機能障害による記憶障害などの症状で、今も調子の悪い日がある。日常生活での失敗も隠さず話した。

 自宅マンションに設けられた共同の大浴場で、間違えて他人の着替えを持って帰ってしまった。「ポケットにはカギも入っていて大騒ぎになりました。とても迷惑をかけました」

 兄が経営する居酒屋を手伝っていて、客に「けんか売ってんのか」とどなられた。障害の影響で左の視野が狭く、上目遣いになるのだ。「ホンマに不便です。不自由なことがいっぱいあります」

 でも、負けない。馬と並走して騎手にインタビューする「馬上インタビュアー」を目指し、週1回乗馬クラブに通う。体力をつけるためのマラソンも続けている。

 「外で風に吹かれたり、花を摘んだり、人と出会ったり。すべてが僕にパワーをくれます」。今、生きていることへの感謝と喜びの気持ちを忘れないという。



 最前列で聞いていた中学時代のバスケットボール部顧問の宮井恒典教諭は「夢を持って頑張っている姿に感心した。後輩たちにもぜひ伝えたい」と話した。由美子さんは「特別な障害ではなく、誰にでも起こりうる後遺症。人と人とのかかわりがリハビリにつながることを知ってほしい」と期待を込めた。

 講演の最後で常石さんは、こう呼びかけた。「リハビリに励むことができるのは、母を泣かせたくないからです。皆さんもこれからの人生、母親を泣かせないよう頑張って下さい」。会場からは惜しみない拍手が送られた。

■高次脳機能障害 交通事故や脳卒中など脳が損傷されることによって起きる。記憶障害や失語のほか、感情のコントロールが難しくなって、おこりっぽくなるなどの症状がある。(読売新聞)
【写真】講演の冒頭、作業所で覚えた手話で自己紹介する常石さん(3日、岬町文化センターで)

賞典費中心に削減へ 県競馬組合がコスト調整

 県競馬組合(管理者・達増知事)は、岩手競馬の2期(4月3日〜8月16日)までの発売額が計画を下回ったことを受け、賞典費の削減など今季2度目のコスト調整を検討していることが11日、分かった。1期終了後に続くコスト調整で、今季初めて賞金や出走手当に当たる賞典費を対象とする方向。約8千万円の調整となる見込みで、14日の県競馬組合運営協議会で提案する。
 県競馬組合によると、2期までの発売額は計画比1億3200万円減(1・4%減)の93億4100万円。存続条件である赤字を出さない「収支均衡」のため、コスト調整が必要となった。現在最終調整中だが、発売額と計画値の差額から約8千万円に上るとみられる。(岩手日報)

2010年9月9日木曜日

道営競馬 存続の方向 本年度収支、均衡見通し 知事、来月にも決定

 道は8日、存廃の岐路にある道営ホッカイドウ競馬について、来年度以降も存続させる方向で調整に入った。同日の道地方競馬運営委員会(委員長・佐藤郁夫札大教授)で、存続の条件となる本年度の収支均衡について、11月18日までの残りの日程で可能とする見通しを示した。高橋はるみ知事が10月中にも最終決定する。
 道営競馬59件は8月半ばまでの前半日程で、馬券発売額が計画比の9割にとどまっている。ただ、11月18日までの後半日程で前半より5%多い売上高を見込めるほか、大井(東京)など道外競馬場での道営競馬の馬券発売レース数の増加などから、道は今季の収支均衡は可能とする試算を示した。
 これに対し、学識経験者や軽種馬生産者ら10人の委員からも「一時は28億円もあった単年度赤字をゼロに近づけた」などと評価する声が相次ぎ、道に対し存続を要望することで一致した。
 運営委は道の意思決定機関ではないものの、これまでも札幌競馬場での開催休止を提言するなど道営競馬の運営への影響力は強く、道側も「事業として成立しており、まだまだ発展できる。赤字構造ではなくなった」(東修二農政部長)と前向きな姿勢を示した。
 10月半ばには来シーズンの道営競馬59件で走る馬の取引市場が日高管内新ひだか町で開かれる予定で、馬産地からは「早く存続を表明してほしい」との声が強まっていた。高橋知事はこの時期までに全体状況を見極め、最終決定を下すとみられる。(北海道新聞)

笠松競馬の女性専用席、本年度利用者500人突破


 笠松競馬(羽島郡笠松町)が平日の一部の競馬開催日に設置している「レディース専用席(ドリームルーム)」の本年度利用者が8日、500人を突破した。特別席で観戦できる上、地元料亭の弁当も付きながら500円(入場料込み)という割安感でリピーターも多い人気席。同日、同競馬場で記念セレモニーが開かれた。

 同ルームは3年前に開設。特別席でレースを観戦でき、多くの日に初心者向けの競馬教室が開かれる。さらに地元料亭の弁当が付いて500円で利用できるため、本年度の利用者は前年同期比50%増と好調なペースで推移している。
 500人目となったのは、名古屋市の長谷川幸美さん(50)。前後賞の各務原市、春日井香代さん(39)と同市、肥後葉子さん(45)と合わせて3人に、騎手のサインや蹄鉄(ていてつ)グッズなどが贈られた。
 長谷川さんは、月1回のペースで利用しているといい、「競馬場は男性の来る場所というイメージがあったが、気軽に楽しめる。ゴール前の特等席で観戦できるのが楽しい」と魅力を話した。
 利用には事前予約が必要。予約、問い合わせは同競馬場、電話058(387)9079。(岐阜新聞)
【写真】写真:笠松競馬の女性専用席、本年度利用者500人突破ドリームルーム利用者が500人を突破し、関係者と喜ぶ女性ら=羽島郡笠松町若葉町、笠松競馬場

2010年9月8日水曜日

オグリのたてがみ笠松に 競馬場に「形見」記念碑


 7月に死んだ笠松競馬出身の名馬オグリキャップのたてがみを展示する記念碑が、羽島郡笠松町の同競馬場内に完成し7日、記念セレモニーが開かれた。

 たてがみは、オグリキャップが引退後、余生を送っていた北海道新冠町の優駿スタリオンステーションから、同競馬場に形見として贈られた。記念碑は、オグリキャップ像前に設置され、赤御影石製で高さ59センチ、幅46センチ。透明なアクリル板がはめてあり、たてがみを見ることができる。「オグリキャップよ永遠に」のメッセージも刻まれている。

 式典では、県地方競馬組合の広江正明管理者が「笠松競馬は厳しい経営状況にあるが、オグリキャップに勇気づけられている。永遠にたたえていきたい」とあいさつ。松原秀安副管理者、初代馬主の小栗孝一さんとともに、記念碑を除幕し、全国のファンから寄せられた記帳簿(915人分)と追悼の言葉(368通)を記念碑に収納した。

 集まったファンらが、早速記念碑を前に記念撮影するなど雄姿をしのび、小栗さんは「うれしい。オグリキャップは幸せな馬です」と話していた。(岐阜新聞)
【写真】オグリキャップをたたえて設置されたたてがみの展示記念碑=7日午後1時45分、羽島郡笠松町若葉町、笠松競馬場

笠松競馬:事業廃止も視野に 古田知事「赤字で基金尽きれば」

 10年度の収支が約1億1700万円の赤字見通しとなった笠松競馬(笠松町)について、古田肇知事は7日の定例会見で「トレンドとして赤字経営となり、補う基金が無ければ(事業を)やめざるをえない。ありとあらゆる議論をしてもらう」と述べ、事業廃止も視野に対応を検討する考えを示した。

 古田知事は「9月末に出る上半期の数字を基に、どういう条件なら存続できるのか、突っ込んだ議論をしたい。私自身はかなり深刻に考えている」と、危機感を示した。

 県費による赤字補てんについては「財政や収支への直接的なてこ入れは考えていない」と否定。条例を改正し、施設整備の借金返済に充てる基金で赤字を補てんすることについても「収支が復活しなかったら設備費を県費で返済しないといけない。どこまで基金を崩すのかは、見極めないといけない」と慎重だった。

 笠松競馬は、売り上げの落ち込みにより、今年度の実質赤字が2億8500万円に上るとの見通しを6日に発表した。09年度末の基金残高は5億1585万円で、現時点で使途が自由な財政調整基金は6570万円。(毎日新聞)

2010年9月7日火曜日

笠松競馬、馬券発売額8.9%減 本年度見通し

 経営難による存廃問題に揺れる笠松競馬(羽島郡笠松町)の本年度の馬券発売額が、8回の開催(8月20日まで)時点で、1日平均で前年同期比8.9%減と大幅に減少し、このまま推移すると、1970(昭和45)年の県地方競馬組合設立以来、過去最低の109億円(前年度比10億円減)にとどまる見通しであることが6日、分かった。
 同日開かれた笠松競馬運営推進協議会で、同組合が報告した。馬券発売額が109億円にとどまった場合は、本年度の収支は1億1700万円の赤字となる見込み。財政調整基金では補てんしきれず、特定目的基金を取り崩す必要があるが、その基金も2年後には底を突くという。
 馬券発売額の低迷は、1人当たりの購買単価が落ち込んでいることや、インターネット発売などに比べ、収益率の高い本場の売り上げが減少しているため。売り上げの落ち込みを受け、組合側は本年度、約5000万円の経費削減を行う方針で、広江正明管理者は「危機的状況だが、なんとか存続できるよう努力する」と話していた。(岐阜新聞)

2010年9月5日日曜日

日高産馬よ中国駆けろ 牧場主ら輸出促進へ協議会 24日から上海でPR

 【浦河】日高管内の牧場経営者ら16人が、中国などへの軽種馬輸出の促進を目指す任意団体「軽種馬貿易協議会」(藤沢澄雄会長)を設立した。不景気などで国内需要が低迷する中、海外に活路を見いだすためで、24日から上海で開かれる中国国際馬博覧会に参加し、日本の軽種馬をPRする。

 協議会は、中国に軽種馬を輸出した実績を持つ日高管内浦河町の牧場経営小田隆範さん(59)の呼びかけで、8月30日に設立された。将来的に商業競馬57件の解禁が見込まれる中国への輸出を重視。会員に中国の購入希望者を無料で紹介するほか、輸出の際の検疫条件の緩和などを行政に働きかける。博覧会では、管内産馬をPRするブースを出すなどして、日本の強い馬づくりを紹介する。

 協議会は法人化を目指しており、年内にも商社などを加えた全国組織にする予定。小田さんは「輸出の経験を生かしながら、販路開拓に取り組みたい」と話している。(北海道新聞)

荒尾競馬で働く人たち

荒尾競馬で働く人たち

 荒尾競馬には約190人の馬主がおり、この馬主から競走馬を預かり、管理やトレーニングを行うのが15人の調教師。それぞれの調教師の下には従業員として、騎手(14人)と、馬の世話をする厩務員(69人)がいる。競馬組合側は事務員が37人おり、競馬開催日は警備や発売窓口の担当者なども加わる。

「荒尾競馬」出走手当3割カット 馬主側 反発と動/九州

 熊本県荒尾市の荒尾競馬が、レースに出るたびに馬主に支払われる「出走手当」をめぐって揺れている。“震源”は競馬事業を運営する荒尾競馬組合(管理者・前畑淳治荒尾市長)が7月、経営改善策として打ち出した手当の約3割カット。事前協議なしの大幅減額に、馬主や調教師、厩務員などの関係者に反発や動揺が広がる。今月8日には減額された手当が初めて支払われるが、馬主側は減額前との差額分の支払いを求める構えだ。
 
 「1走あたり一律1万5000円の削減の実施に踏み切ることといたしました」。組合は7月23日、馬主会の全会員186人に方針を伝える文書を郵送した。
 
 荒尾競馬は旧三池炭鉱閉山やレジャーの多様化などの影響で入場者が減り続け、累積赤字は約14億円に上る。昨年末には隣町に競艇の場外舟券売り場ができ、売り上げの減少に拍車がかかった。
 
 「競馬存続のための苦肉の策」。前畑市長は出走手当の減額に踏み切った胸の内を明かす。

 ◆全国最低レベル
 
 そもそも出走手当とは何か。組合から馬主に支払われるのは、1―5着に入った場合の賞金と、出走馬すべてが対象となる出走手当の2つが柱。競馬では、売り上げの75%が馬券を買った人たちに払い戻され、残りが競馬場の収入となる。荒尾の場合、賞金と出走手当には収入の半分程度が充てられている。
 
 「馬主から見れば、勝敗に関係のない出走手当は基本給、成功報酬の賞金は歩合給のような性格がある」(地方競馬全国協会)という。
 全国に17ある地方競馬場でみると、1着賞金の最低額は、各競馬場の経営状況などによって9万―80万円と格段の差がある。対して、出走手当は1回につき5万―7万円が相場で、それほど大きな開きはない。
 
 荒尾の1着賞金の最低額は10万円。出走手当は今回の引き下げで3万5000―4万5000円となり、いずれも高知競馬(高知市)に次ぐ全国2番目の低さとなった。九州ではほかに佐賀競馬(佐賀県鳥栖市)があるが、同競馬場の賞金最低額は15万円、出走手当は7万―7万5000円という。

 ◆対立長期化か
 
 「8月だけで4頭も馬がいなくなった」。競馬場に隣接する厩舎団地で11頭を飼う調教師(57)は、出走手当の減額が決まり馬を手放す馬主が増えたと話す。
 
 荒尾競馬全体では、6月末に約350頭いた競走馬は、今は約290頭に減った。ほかの競馬場の厩舎への移籍や殺処分が進んでいるという。
 
 馬主は調教師に預託料を支払って馬を預ける。荒尾では、この預託料を出走手当でまかなっている馬主が多く、手当減額が馬の減少につながっているのだ。
 
 馬主会は8日の手当振込額を確認した上で、組合側に再度減額見直しの交渉を求める方針だが、「荒尾競馬存続にはこれしかない」という組合側には譲歩の気配はなく、双方の対立は膠着状態が続く見通しだ。
 
 手当減額は、馬主からの預託料が主な収入源の調教師と厩務員にとっても、まさに死活問題。それでもある厩務員はこう訴える。「競馬関係者同士が対立していても事態は乗り越えられない。減額分を馬主や調教師、厩務員が痛み分けで負担するなど、荒尾競馬を絶やさないための建設的な話し合いがしたい」 (西日本新聞)

2010年9月2日木曜日

アラブ馬の怪物のゼッケンなど50点 福山競馬が大放出


 福山市営競馬は12日、所属頭数の減少を受けて昨年9月で終了したアラブ馬専用レースで、数々の名馬が着用したゼッケンなど、入手困難なグッズをファンに抽選でプレゼントする。同市千代田町の競馬場総合案内所で、希望する品を受け付ける。

 市営競馬の開設61周年を記念し、「激レア!アラブ・グッズ大放出」と題して実施。「最後のアラブの怪物」と呼ばれ、8月に引退したバクシンオーや、現役の重賞レース勝利馬のホワイトモンスターなどの名が記された紺色のゼッケンのほか、2007年が最後となったアラブ馬の全国交流競走「第7回タマツバキ記念」の際につくられたファン向けの記念の帽子など約50点をプレゼントする予定。

 当日午後3時までに、発売締め切り前の500円以上の馬券を総合案内所に提示し、希望する品を申し込む。その後、抽選を行い、第10レース終了後にグッズを手渡すという。市営競馬事務局は「掘り出しものの貴重なグッズをぜひ手に入れて、往年のアラブ馬たちの活躍を思い起こしてほしい」と話している。(朝日新聞)
【写真】アラブの名馬が重賞レースで着用したゼッケンや記念の帽子などのレアグッズ=福山市千代田町